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「兵士が撮影中の乗員射殺」と乗員証言 ガザ支援船拿捕

2010年6月3日9時35分

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 【ハイファ(イスラエル北部)=井上道夫】イスラエル軍によるガザ支援船拿捕(だほ)事件で、同国に勾留(こうりゅう)された乗員が、接見した弁護士に「無抵抗の乗員がイスラエル兵に射殺された」と証言したことが2日、わかった。イスラエル政府は死傷者が出たことについて、自軍兵士が襲われたために武力を行使した「正当防衛」と説明しているが、その主張と食い違う。

 イスラエルの人権団体「アダラ」(アラビア語で正義の意)のザヘル弁護士が朝日新聞の取材に応じた。ザヘル氏は1日、同国南部の政府施設に勾留されていた約240人の乗員と接見。イスラエル軍の拿捕作戦中に何が起きたのかについて証言を集めた。

 イスラエル軍が強行突入したマビマルマラ号に乗船していたトルコ人記者の証言によると、イスラエル軍兵士は、強行突入の様子をビデオ撮影していたトルコの人権団体のメンバーの頭部に向けて発砲。弾丸は貫通し、即死状態だったという。

 また、複数の乗員の証言によると、同号の船長は船に乗り込んだイスラエル兵士に「ここは公海上であり、強行突入の権利はない」と下船を求めたが、兵士は逆に船長に暴行を加えたという。

 イスラエルの高速艇は5月31日午前4時ごろ、同号に接近。乗員が甲板に上がってこようとする兵士に水が入ったペットボトルを投げて対抗したところ、約10分後にヘリコプターから兵士が降下してきたという。

 兵士は、催涙弾やスタンガンも使用。軍は、同号をイスラエルの港に入港させるまでの間に食事を出したが、兵士は、乗員が食べ物を持つ写真を撮影すると食事を取り上げてしまったという。

 乗員の証言についての取材に対し、イスラエル軍報道官は「軍のウェブサイト上で公開していることが回答にあたる」とだけ答えた。軍が公開している動画には、乗員がヘリコプターから降下してくる兵士を待ち受け、集団で暴行を加える様子が映っている。

 イスラエル軍の発表によると、船団側の死者は9人、イスラエル兵の負傷者は7人。船団側の負傷者は数十人にのぼるとみられる。イスラエル入管当局は1日までに680人から事情聴取。乗員は国外退去させる方針で、内務省によると、2日中にほぼ全員が出国するという。

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