【エルサレム=井上道夫】アイルランドからパレスチナ自治区ガザに向け地中海を航行していた支援船「レイチェル・コリー号」が5日、ガザ近海に到着した。支援団体によると、イスラエル軍の艦船がコリー号の周辺で警戒態勢に入っている。イスラエルはガザへの外国船の着岸を認めておらず、イスラエルの港に入港させる方針とみられる。
5月末の支援船拿捕(だほ)事件で、トルコ人ら9人が死亡した事件を受け、アイルランド政府はイスラエルに対し、コリー号が安全にガザに入港できるよう要請していた。
イスラエルは支援船への強行突入作戦で多数の死傷者がでたことや、ガザの境界封鎖策をめぐり、国際社会から激しく批判されているが、外国船のガザ入港を認めない姿勢を堅持している。
コリー号は、マレーシアのマハティール元首相が設立した平和団体「ペルダナ・グローバル・ピース」などが支援。同国やアイルランドの人権活動家ら約20人が乗船。1976年に北アイルランド和平運動でノーベル平和賞を受けたメイリード・マグワイアさんも乗っているという。
イスラエルは積み荷を検査した上で、同国がガザに搬入する意向を表明。これに対し、コリー号は「船に武器は一切積載していない」とし、直接ガザに届けることを希望している。
一連のガザ支援船団を組織する国際人権団体「自由ガザ運動(FGM)」によると、コリー号は先月、建築資材などの支援物資を積み、アイルランドを出港。当初、5月31日にイスラエル軍に拿捕された船団に加わる予定だったが、航行速度が遅く、合流できなかったという。
「コリー号」の船名は、ガザ南部ラファで2003年、イスラエル軍によるパレスチナ人家屋破壊を阻止するための活動中に同軍のブルドーザーにひかれて亡くなった米国人女性(当時23)の名前にちなんでいる。