2010年4月10日 10時38分
【ワシントン斉藤信宏】9日のニューヨーク株式市場は、米景気の本格回復への期待感の高まりなどから続伸し、ダウ工業株30種平均が一時、1万1000ドル台を回復した。取引時間中に1万1000ドル台に乗せたのは、08年9月下旬以来、約1年半ぶり。終値は前日終値比70.28ドル高の1万997.35ドルだった。ハイテク銘柄主体のナスダック総合指数も続伸し、終値は同17.24ポイント高の2454.05と、08年6月19日以来、約1年10カ月ぶりの高値となった。
市場は、2月の卸売売上高が前月に比べて増加するなど景気回復を示す経済指標を好感。欧州連合(EU)による支援の道筋が示されたことで、ギリシャの財政危機への懸念が和らいだことも相場を下支えした。
ダウ平均は08年9月のリーマン・ショック直後から急落し、09年3月には6547.05ドルまで下落した。その後、金融不安の後退などを受けて急回復し、わずか1年余りで約68%も上昇した。
週明け以降は米主要企業の10年1~3月期決算発表が本格化する。投資家の間では、業績回復への期待感も高まっており、ダウ平均がリーマン・ショック前の水準(1万1421ドル)を回復できるかどうか注目される。
ただ、株価の急回復には、ゼロ金利政策の長期化に伴うカネ余りも大きく影響しており、市場には「新たな資産バブルにつながりかねない」(米エコノミスト)との警戒感もある。