2010年4月9日 10時53分 更新:4月9日 11時31分
【北京・浦松丈二】中国遼寧省高級人民法院(高裁)は9日午前9時(日本時間同10時)、麻薬密輸罪で死刑判決が確定した名古屋市の武田輝夫(67)、岐阜県の鵜飼博徳(48)の両死刑囚の刑を大連市看守所で、福島県の森勝男死刑囚(67)の刑を瀋陽市看守所で執行した。
死刑執行の直後、同法院から在瀋陽日本総領事館と同総領事館大連出張駐在官事務所にそれぞれ電話で連絡があった。
同法院は6日に同罪で死刑判決が確定した大阪府の赤野光信元死刑囚(65)の刑を、日本人の死刑としては1972年の日中国交正常化以降初めて執行していた。中国で死刑が確定していた日本人4人全員の刑が執行された。
武田死刑囚は02年から名古屋市などで被害総額6億円の連続強盗事件を起こした日中混成強盗団のリーダーとして愛知県警などが指名手配していた。同年11月に中国入り。ホームレスらを運び屋に雇って覚せい剤密輸を繰り返した主犯格とみられている。
判決によると、武田死刑囚は04年6月に広東省で共犯者2人と覚せい剤約3.1キロを所持しているところを拘束され、03年に大連から覚せい剤計約3.7キロを密輸しようとした組織のリーダーと認定された。
鵜飼死刑囚は03年7月、覚せい剤約1.5キロを隠し持って大連の空港から帰国しようとして拘束された。裁判では「他人に頼まれた。覚せい剤とは知らなかった」などと主張した。
両死刑囚は1審で死刑判決を受けて控訴、07年8月に同法院が棄却し、死刑が確定していた。
森死刑囚は03年7月、覚せい剤約1.25キロを隠し持って瀋陽の空港から帰国しようとして拘束された。裁判で「他人の差し金だった。監視されていた」などと主張したが、1審で死刑判決を受けて控訴、07年10月に同法院が棄却し、死刑が確定した。
鵜飼、森両死刑囚は武田死刑囚の指示で覚せい剤を密輸しようとしたとみられている。
中国ではこれまで日本人の「運び屋」ら20人以上が逮捕、起訴されている。死刑の目安となる1キロ以上の覚せい剤が押収されたケースも多く、今後も死刑執行が続きそうだ。