2010年4月8日 15時33分 更新:4月8日 21時47分
「1票の格差」が最大2.30倍となった09年8月の衆院選は、選挙権の平等を保障した憲法に反するとして、高松市の弁護士が香川1区の選挙無効を求めた訴訟の判決が8日、高松高裁であった。杉本正樹裁判長は「違憲状態」と判断した。選挙無効の請求は「国会が合理的な期間内に是正しなかったとはいえない」と棄却した。原告側は上告する方針。【中村好見】
09年の衆院選を巡る同種訴訟は全国8高裁・支部で計9件起こされ、判決は8例目。これで「違憲」や「違憲状態」が7例、「合憲」が1例となった。
判決は、議員1人当たりの有権者数(人口)の格差は「憲法の投票価値の平等の要求に反する程度に至っていた」と指摘。小選挙区定数300の振り分けを、まず47都道府県に各1人とし、残りを人口比で分ける「1人別枠方式」について、「投票価値の不平等が生じる大きな原因」と認定した。
一方、1票の格差は2倍超までに拡大したが、最高裁判断でも違憲と認めない見解が多数を占めていたことや、選挙制度改正には相応の時間がかかることなどから、05年国勢調査結果に基づいて選挙区割りを改定しなかったことをもって憲法違反とはいえないとした。
09年衆院選で有権者数が最少の高知3区と最多の千葉4区の間で2.30倍。高知3区と香川1区の格差は1.44倍だった。
原告は09年に弁護士らが設立した「一人一票実現国民会議」のメンバー。判決後、記者会見で「高知3区の有権者の選挙権の価値を1票とすると、香川1区は0.7票しかない。この不平等に多くの国民が気付いてほしい」と訴えた。