中国:日本人に死刑執行…国交正常化後初めて

2010年4月6日 10時54分 更新:4月6日 12時42分

6日、赤野死刑囚の刑が執行された大連市看守所=2010年4月5日午前、浦松丈二撮影
6日、赤野死刑囚の刑が執行された大連市看守所=2010年4月5日午前、浦松丈二撮影

 【大連(中国遼寧省)浦松丈二】中国遼寧省高級人民法院(高裁)は6日午前9時半(日本時間同10時半)、麻薬密輸罪で死刑判決が確定した赤野光信死刑囚(65)=大阪府出身=の刑を大連市看守所で執行した。中国で日本人の死刑が執行されたのは1972年の日中国交正常化以降初めて。日本外務省によると、戦後、海外で刑事犯として日本人の死刑が執行された記録はないとしている。

 死刑執行から5分後、同法院から在瀋陽日本総領事館大連出張駐在官事務所に連絡があった。新華社通信によると、中国最高人民法院(最高裁)は声明を発表し、「麻薬密輸について疑いのない証拠があり、法に基づいて死刑を宣告し、執行した」と説明、死刑執行の正当性を強調した。

 判決によると、赤野死刑囚は06年9月に大連の空港で、共犯の石田育敬受刑囚(同罪で懲役15年確定)と、約2.5キロの覚せい剤を日本に密輸しようとして警察に拘束され、1審判決を経て昨年4月に同法院で死刑が確定していた。

 同罪で死刑が確定した、名古屋市の武田輝夫(67)▽岐阜県の鵜飼博徳(48)▽福島県の森勝男(67)の3死刑囚についても、中国政府は8日にも刑を執行すると日本政府に通告している。

 日本政府はいずれの刑執行にも「刑が重すぎる」と懸念を表明しているが、中国政府は麻薬犯罪には厳罰で臨む姿勢をみせている。一方、赤野死刑囚と家族らの面会を執行前日に認め、執行を1日延期するなど配慮も示していた。

 中国は昨年12月にも麻薬密輸罪で死刑が確定した英国人死刑囚の刑を執行し、英政府や人権団体から厳しい批判を受けた。

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