【東京】ソニーは13日、2年連続の赤字から脱却し、黒字転換を見込んでいることを明らかにした。痛みを伴う構造改革が功を奏し、苦戦していたテレビやゲーム機などの売り上げ見通しも改善している。
営業利益5倍増を見込むソニーだが、ギリシャ危機が需要の回復にブレーキをかけ、ユーロ安が改革効果を損なう可能性があるとして警戒している。ソニーは収益の約4分の1を欧州から得ている。
最高財務責任者(CFO)の大根田伸行氏は、欧州の混乱が続けばマイナス要因になり得る、としたうえで、金融機関の貸し渋りによって新たな信用危機が生じる可能性があると述べた。
ソニーはほかの家電メーカーと同様に、世界需要の全般的な改善によって恩恵を得てきた。テレビなどの高額家電の売り上げは金融危機の影響で落ち込み、各社は在庫を削減するために大幅な価格引き下げを余儀なくされた。だが売り上げが回復したことで、値下げは幾分緩やかになっている。
今年度(2011年3月期)は500億円の純利益が見込まれている。営業利益は1600億円の見通し。売上高予想は7兆6000億円に据え置いている。
利益予想は、トムソン・ロイター調査のアナリスト予想を下回った。アナリストの多くは、不採算事業であったテレビとゲームが黒字転換したことで、より強気の予想を見込んでいた。
ハワード・ストリンガー最高経営責任者(CEO)の下、ソニーは、工場閉鎖、製造委託、人員削減などのコスト抑制策に取り組んできた。
ソニーは、今年度の構造改革費用として800億円を見込んでいる。9月までにさらに3工場を閉鎖し、残り43工場の体制で臨む。大根田氏はほかにも工場の閉鎖や売却を検討しているとしたが、詳細は控えた。
ソニーは、携帯電話合弁事業のソニー・エリクソンなどの不採算事業についても、今年度は黒字化が見込まれるが、グループのいくつかの事業で減収が予想されるため、黒字分は相殺されるとしている。
ソニーはこのところの円高も懸念要因に挙げた。同社は今年度の平均為替レートを1ドル=90円、1ユーロ=125円と想定している。対ユーロで1円の円高につき、ソニーの年間営業利益は70億円の打撃を受ける。また対ドルで円高が1円進むと、営業利益は20億円減少する。
1-3月期はリストラ費用がかさんだことで565億7000万円の純損失。損失額は前年同期の1651億4000万円より減少した。
ソニーは、6年連続の赤字だったテレビ事業の黒字転換も予想し、改革努力が実を結びつつあることを示した。同社は、3Dテレビが注目され、減益要因となる値下げ圧力を和らげることを期待している。
大根田氏は、今年度のテレビ事業で1000億円程度の収益改善を見込んでいることを明らかにした。同事業は2010年3月期には730億円の赤字だった。
同社は来年3月までの1年間で、液晶テレビ2500万台の売り上げを目指すとしている。昨年度の実績は1560万台だった。目標達成の障害のひとつは、液晶パネルの供給がひっ迫していることだ。だが大根田氏は不足分は補えるはずだとしている。
サムスンやLGエレクトロニクスとは異なり、ソニーは大型パネルの自社生産は行わず、外部に委託している。
ソニーは、もうひとつの不採算分野であるゲーム事業でも収益の改善を見込んでいる。
長期にわたって苦戦していたソニーのゲーム事業だが、最近では同社の「プレイステーション(PS)3」が、任天堂の「Wii(ウィー)」やマイクロソフトの「Xbox 360」のシェアを奪い始めている。合わせて同社はゲーム機の生産コスト引き下げを進めている。
ソニーは今年度のゲーム部門の利益は100億円に満たないと予想する。同部門は2010年3月期に500億円の損失を計上した。同社はPS3のゲーム機本体が、発売後3年半を経て、ようやく黒字化しつつあることを明らかにした。
ゲーム事業全体では、ゲーム機の売り上げが増せば、それよりも収益性の高いソフトウェアの売り上げにつながる。ソニーは今年度のPS3本体の売り上げ目標を1500万台としている(昨年度は1300万台)。
2010年3月期の決算は408億円の純損失だった。前年度は989億円の損失。営業利益は318億円(前年度は2278億円の赤字)、売上高は前年度比6.7%減の7兆2140億円となった。
ソニーは米国の会計基準に基づいて財務報告を行っている。