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【ドラニュース】


ブラ雄叫び サヨナラ打

2010年6月5日 紙面から

中日−ロッテ 11回裏2死二、三塁、サヨナラ打を放ったブランコ(中)を手荒く迎えるナイン=ナゴヤドームで(榎戸直紀撮影)

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 ベンちゃん、起死回生弾、ブランコサヨナラ打−。4日のロッテ戦(ナゴヤドーム)。チェンがつかまり、劣勢ムードで迎えた8回。3点のビハインドをハネ返したのが和田の一振り。薮田から左翼席に17号同点3ラン。そして最後は延長11回、ブランコが決めた。森野も先制打を放っており、BMW打点そろい踏み。サヨナラ負けには、サヨナラ勝ち。2日前の悪夢とも、もうサヨナラ!

 じらしにじらした。そして最後は自分でお立ち台をかっさらった。試合開始から4時間36分も過ぎた延長11回2死二、三塁。やっと4番・ブランコが決めた。

 「とにかくよくボールを見て、ストライクゾーンに来たら何でもいこうと思ってた」

 打った瞬間だった。左前へ、痛烈なライナーのタイムリー。歓喜のサヨナラだ。長い試合で疲れたナインの気持ちを最後にもみほぐした。

 くたびれる、長い競り合い。大きな原因になったのがブランコ自身だった。3回1死一、二塁のチャンスではゲッツー。9回2死満塁のサヨナラチャンスでは左翼へライナー。大松の好捕という不運もあったが、4番の仕事ができなかった。

 「ゲームの一部だからしょうがない。引きずらずに、気持ちを切り替えていった」

 最後にちょっと取り返した。ヒーローになった。長引かせたが、価値ある1点を最後に奪った。ロッテは必勝態勢に持ち込んだ。最後は開幕から無失点だった絶対的クローザー・小林宏。12球団で初めて失点させ、土をつけたのだ。

 実は悩みを抱えている。「正直、頭が痛いくらい…」。構えたときのスタンスなど、打撃フォームの試行錯誤を続けているのだ。「しっくりきていないけど、少しずついい方向に向けて、自分のものにしていきたい。まだプロセスの途中なんだ」。2日のオリックス戦までのここ4試合、19打数2安打。打率1割5厘という超低調だった。

 「自分の仕事をしっかりしないといけない。だからもっともっとやらないといけない。外国人なんだから」

 自分は「助っ人」。だから並の成績では生き残れない。異国・日本でもっと野球を続け、もっと大金を稼ぎたい。だから練習する。ナゴヤドームでは試合後も居残り特打が日課。そして最後にいいことがあった。

 土壇場の8回に追いつき、最後はサヨナラ。見る側には興奮の展開でも、指揮する側にはつらいモタモタだった。

 「粘り? どこに粘りがあるの。あるんだったらもっと早く終わってる。振らないんだもん。振れよ! 振れば何かが起こる。何が邪魔してるのか…。それが何なのかは私には皆目見当がつきません」

 落合監督の目には、選手の動きを縛る「何か」がもどかしい。7回まではわずか4安打。ため息の連続。なのに、最後は勝つのだから…。

 「向こうにしたら今日の試合落としたのは大誤算だろうな。ウチはこういう試合、けっこう落としてるけど。拾いもするけどな。だから野球はおもしろいし、難しい」

 落合監督は苦笑い。ブレーキだったブランコがヒーローで終わった。展開が読めない“竜劇場”も、最後はハッピーエンド。貯金消滅の危機も脱した。 (生駒泰大)

 

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