オリックス−中日 8回裏無死満塁、北川(右)に同点の中越え2号本塁打を打たれ、打球の行方を目で追う高橋=スカイマークスタジアムで(布藤哲矢撮影)
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シンジラレナーイ…。中日が2日のオリックス戦(スカイマーク)で歴史的敗戦を喫した。中継ぎ陣の乱調で8回の1イニングに7点リードを追いつかれ、最後は延長11回、チーム今季最長の4時間49分の末、サヨナラ負けだ。7点リードからの逆転負けは、落合監督就任以降ではワースト。考えられないような1敗。もう、笑ってすますしかない。
落合監督は笑みを浮かべていた。「こんな試合、一生に1回お目にかかれるかどうか」。幻のような試合。それが実際に目の前で起きた。大逆転負け。だからこそ、笑顔でこう言った。
悲劇の始まりは8回裏だった。直前の8回表に谷繁がとどめの3ランを放った。これで7−0。あとは静かにゲームを終わらせるだけ、のハズだったが…。
マウンドには鈴木を送った。すると2連打された。次打者は左の坂口。万全を期した。左の長峰にスイッチ。止まらなかった。坂口に2点タイムリー二塁打を浴びた。さらに四球と安打が続いた。3点失い、なお無死一、二塁。といってもまだ4点差ある。ベンチは手堅く動いた。打者は左のT−岡田。切り札・高橋を投入した。
高橋はオール速球でT−岡田と勝負。「カウントを悪くしてしまったので仕方がないです」。一番の武器で攻めた。結果はフルカウントから四球。満塁となった。次打者は北川。一発が出れば同点。でも、まさか。そのまさかが起こった。速球をたたかれた。中堅右へ舞った。入った。まさかの満塁弾だ。
1死も取れず、あっという間に7点のリードが消えてなくなった。緑に囲まれた神戸の球場で、キツネにつままれたような悲劇。ドタバタで登板した高橋は「そんなことはないです。一度(肩を)つくっていたので大丈夫でした」と、言い訳にはしなかった。
落合監督が「一生に1回お目にかかれるかどうか」と、語ったのも当然だ。落合竜ではこれまでになかった大逆転負けなのだ。現政権となった04年以降、7点差逆転負けは初。星野監督時代の00年に一度あり、球団としては10年ぶりだが、そのときは6回裏からの逆転負けだった。8回裏からとなると近年にない怪奇現象だったのだ。
最後はブルペン総動員。延長11回裏、金剛が投げているとき、前日(1日)の先発だった川井がベンチからブルペンに走った。体操を始めた。ベンチ要員の投手は、岩瀬と川井2人だけになっていたのだ。
力尽きた。金剛がT−岡田にサヨナラ3ランを浴びた。「低めには行ったとは思いますけど…」。金剛はうつむいた。乱高下した展開。疲れ切った選手たちは、サヨナラの幕切れに肩を落とし、守備位置からベンチへ力なく歩くしかなかった。
悲劇は終わった。1年で2度も見ることはないだろう。幻と消えた白星を悔いても戻っては来ない。そう、笑うしかないのだ。 (生駒泰大)
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