渡辺コーチに見守られ、ノックを受けるブランコ(手前)=ナゴヤドームで(小嶋明彦撮影)
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電撃、オレ流人事−。中日は3日、2軍を担当していた早川和夫野手コーチ(50)と渡辺博幸内野守備走塁コーチ(39)が1軍へ、1軍を担当していた風岡尚幸内野守備走塁コーチ(42)が2軍へ移った。シーズン残り90試合となり、落合博満監督(56)はブランコの一塁守備の強化などを目的に「配置転換」を決行した。
記録的な大逆転負けから一夜明けた朝、1軍と2軍のコーチの顔触れが変わっていた。ナゴヤ球場の2軍戦。1軍にいた風岡コーチが現れ、2軍にいた早川、渡辺両コーチが消えていた。
落合監督が明言した。この日限りではない。今後は風岡コーチが2軍を担当し、早川、渡辺両コーチが1軍を担当することになったのだ。
「手を打たなきゃいけないだろう。今の、この現状ではな」
すでに54試合を消化。“患部”が治らない。落合監督は異例の大ナタをためらわなかった。
選手の場合は1軍が昇格、2軍は降格を意味する。コーチは意味合いが違う。いち早く処置しなければならない患部。それが「ブランコ」だ。
「ファーストって、セカンドやショートとはまったく違う。サードとも違う。内野で一番簡単なのはサードだ。セカンドやショートの経験がある人間でも、ファーストの経験がなければ教えられないことがある。その経験者がいるのなら使わない手はないだろう」
今年のブランコの守備は不安を露呈している。救える一塁経験者としてかつてのゴールデングラブ、渡辺コーチ以上の人材はいない。
「オレはやったことがあるから分かる。今の野球で一番難しいのはファーストだ。オレはセカンドも、ショートもやった。だから分かる」
一塁は動きが小さく、送球が少ない。簡単と見られがち。プロは違う。テクニック、判断、読み…。渡辺コーチは早速、ナゴヤドームでの1軍練習で助言を始めた。
「1人が2人になる。(ノックを)打てる人数は多い方がいい。内野手はブランコだけじゃない。やらなきゃいけないことはたくさんある」
1軍指導陣はプラス1。そこもミソ。より多くのノックが打てるようになった。早川コーチはこれまで1軍に不在だった左打ちのノッカーだ。
「長い目で見て、先のことも考えてのこと。いろんなことが絡んでいる。ノック? それだけじゃない。やることは山ほどあるんだ」
二遊間出身の風岡コーチには「アライバ」の後継育成という大命題がある。2軍には谷、岩崎恭、堂上直、西川、柳田、沢井と候補生が大勢いる。現状と中長期戦略を総合判断。そして大胆に動いた。 (生駒泰大)
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