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きょうのコラム「時鐘」 2010年6月5日
「おしん」という少女の名が忍耐の代名詞になったのは昭和50年代後半のこと。がまん強く政権が転がり込むのを待った竹下元首相を「おしん政治家」と呼んだほどである
きょう行われる、金沢の百万石行列では本物の「おしん」に会える。女優の小林綾子さんが藩祖利家を支えた、がまんの妻・お松の方を演ずる。よく泣かせてもらった少女の成長の跡を見たい 忍耐強いのか、すぐいらだって短気なのかよく分からないが、菅直人氏が首相の座を射止めた。党代表選7度目の挑戦だから、がまんの「おしん首相」か。市民運動の元活動家から権力の頂点に上り詰めたのは、平成の下克上と言えなくもない 「がまんの菅さん」だった。普天間問題で鳩山さんが集中砲火を浴びる中でも無言を貫いた。あの忍耐強さで今があるように見える。「おしん」も最後は立派な女性実業家になる。忍耐は政治家にこそ大切である もっとも、百万石まつりが伝えるのは一向宗支配から信長、秀吉政権とコロコロ変わった戦国の歴史である。統治者でなく、国民が一番「がまん」させられる世に終止符を打たねばなるまい。 |