Mixiの某コミュで電子書籍用の原稿を募集する書き込みを見た。まあよくあることです。
で、そこでは「印税率50%」って言ってるんだが、多分この条件で乗る人ってほとんどいないんじゃないかと思った。
何故かってぇと、すでに電子書籍は書店レベルで70%払いますってポリシーを打ち出している。だからこれ以下の数字だと、いいコンテンツを確保することはできない。
だもんで、「出版する」側は、発想の転換を強いられると思う。これからは、版元が印税率を決めるのではなく、著者が複数の版元の販売条件を比較して、有利なところを選ぶ時代になると。
もちろん、著者がそのまま出版社化する、ということも、重要な選択肢として勘定されることになると。
この形式が定着すると、どこが一番ダメージを受けるかっていうと、実はケータイ漫画配信業者だったりする。
この手の業者の場合、印刷コストと在庫管理のリスクがかかってないのにも関わらず、紙出版と同程度か、それ以下の印税率しか提示できてない。となると著者は、「だったらより条件のいいiPadいくわ」となる。ケータイの場合、すでに市場がある程度成立しており、ギャンブルの度合いはまだ海のものとも山のものともわからないKindle&iPadより低いはずなんだけど、1冊売った場合の利益が段違いなんで、すぐに追いつけちゃう。なおかつケータイの場合「納品後いつ支払われるかわからない」という致命的な欠点を抱えている。
これらの欠陥は、ケータイ配信業者自身が販売ルートを独占することによって、「労働なき富」を得ようとした結果生まれたもんなんで、同情に値しないっちゃそれまでですけど。
いずれにせよケータイ漫画配信サイトは、こうした点を認識し、対策立てないと今年のうちにどえらい目に遭う可能性が高い、と思う。
ま、ロイヤリティ方式が崩壊すれば、「非独占配信権のみページ2500円!」といううちのやり方が脚光を浴びるかもってことになるので、ニヤニヤしながら見ようと思うのですが。
よくわかってないけど何か大変なことが起こりそうだと思った出版社は印刷屋と組んで「電子書籍対応」を打ち出そうとしてるんだが、困ったことにKindleはアマゾンがオーサリングしてくれる。またAppleはxhtmlベースのePubを使ってるんで、「加工」の余地がほとんどない。
営業力にしたって、出版社が持ってるのは書店と取次に対する力だけ。ネットでの広報宣伝力はない。
つまり、著者から半分ふんだくるだけの大義名分ってのがないんです。
ケータイの場合、その大義名分を得るためだけにBookSurfingフォーマットってのをでっちあげたんだけど、こっちの電子書籍の場合、海外メーカーが中心なんでそういう小細工はできないし。
さあどうする。