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退職強要やハードワークによるうつ…、“ブラック会社”に負けない法律知識

日経ウーマンオンライン(日経ウーマン)6月 1日(火) 11時43分配信 / 経済 - 経済総合
退職強要やハードワークによるうつ…、“ブラック会社”に負けない法律知識
労働問題での対応は臨機応変がカギ。
Q.会社から退職届を強要される。従わなければいけないの?
 入社6年目の正社員です。不況で業績が悪化した会社から、「仕事がないので今月付けで退職届を書いてくれ」と毎日言われ続けています。辞めたくないけど、書くべきなの?

【詳細画像または表】

A.いかなる場合でも、自分から退職届は書かないように!
 事業の継続が思わしくないのを理由に、人員整理を行って事業の維持継続を図る「整理解雇」では、判例で「4要件」が確立しており、4つの要件(=(1)人員整理の必要性、(2)解雇回避努力義務の履行、(3)被解雇者選定の合理性、(4)手続の妥当性)がすべて満たされなければ解雇は無効とされます。

 そして労働事件では、どんな状況でも自ら退職届を書いてはいけないのが大原則! 本人に離職の意思がなくても退職に合意したと見なされ、その後の交渉が不利になってしまいます。

 会社側からの圧力に屈し、本人の意思でないことを立証できれば、後日でも退職届を無効にできますが、余分な手間と時間がかかるのは避けられません。

 すぐにも労働者側の弁護士や労働組合(ユニオン)などに実状を打ち明けて対処しましょう。


退職届は、解雇問題のキーとなるアイテム

 「『整理解雇の4要件』を満たさずに、会社が不況を理由にした一方的な解雇はできません。4要件以外での解雇はできないことをまず認識して下さい。これは外資系企業でも同じです。『地位保全仮処分』や一人でも入れるユニオンに加入して団体交渉してもらうのも手段です」(秋田弁護士)

 会社都合で勝手な解雇が不可能な事実から、表面上は希望退職に見せ掛けられる「退職届」は、解雇を望む雇用者側にとって、喉から手が出るほど欲しいアイテム。

 もちろん応じる義務も必要もない。拒否姿勢を貫こう。


Q.人員削減によるハードワークでうつっぽくなった。会社責任は問える?
 人員削減により残業や休日出勤が増えました。ハードワークから最近は寝付けない、気力がわかないなどうつ症状が出始めています。会社へ責任を問える? 追及したらクビになる?

A.病気と診断され、因果関係を証明できれば労災認定へ
 まず医師の診察を受けること。病名が明記された診断書を書いてもらいましょう。

 次に、労働条件の極端な切り下げが実際にあった場合は、会社側で具体的に数値化できるような労働時間以外のもの(それまで3人でやっていた仕事が1人になった等)を表にして、労働内容を克明に記録してください。アルバイト人員の補充を申し出たのに聞き入られなかったなど、環境改善を希望してもかなわなかった事実があればそれも記載します。

 その上で、ハードワークが発病原因であるとの因果関係が立証できれば、労働基準監督署へ労働災害認定と補償の申し立てができます。残業時間が月60時間以上で「業務起因」と見なされるのが一般的ですね。

 また、労災で休職中の解雇は法律で禁止されています。


労働問題での対応は臨機応変がカギ

 「労働問題で重要なのは、いかに本人と職場に合った的確な対応ができるかです。

 勤務先の業界体質をベースに、同僚、上司の性格や力関係、職場の雰囲気や、社内の風通し具合などを複合的に判断して進めることが不可欠です。

 セオリー通りの対処が、本人にとって必ずしもベストの選択とは限らず、問題は解決できても、そのせいで職場に居づらくなったのでは元も子もありません。交渉人(公的機関や弁護士)を活用する際はこうした点も念頭に置いて、できるだけ詳しく職場環境を伝えるようにしましょう」(秋田弁護士)


秋田弁護士からのワンポイントアドバイス

弁護士の上手な選び方・付き合い方
 弁護士の情報は各弁護士会にあります。全国の弁護士会が開設する法律相談センターでは、予約制で30分5250円(税込み)で弁護士に直接相談できます。回数制限もなく、何回でも利用できるので、まずは問い合わせてみましょう。

 そして問題の案件に強い、自分にフィットした弁護士を探すこと。解決への方針や手段に違和感を覚えるようなら、別の弁護士を当たってみましょう。

 自身の雇用に関する問題は、一生を左右するものです。味方がいるのといないのとでは雲泥の差。一回の美容院代より低い負担で、心の闇が晴れ、負担が軽くなる効果は絶大です。

 また、長く付き合える自分に合った弁護士に巡り合えれば、将来的にも、人生の様々な面においていろいろなことが相談、対処できる後ろ盾を得ることになり、自分への有意義な投資になるでしょう。

この人に聞きました弁護士
秋田一惠さん
87年弁護士登録。91年ジョージア・ロースクールL。L.M。 青山外苑法律事務所代表。東京都労働相談情報センター民間労働相談員、東京ウィメンズプラザDV法律相談員、家庭裁判所調停委員。労使双方の労働事件多数担当

取材・文/新郷由起

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  • 最終更新:6月 1日(火) 11時43分
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