2005年09月
地上デジタルの携帯端末むけ放送(いわゆるワンセグ放送)が、来年4月から始まることが発表された。テレビ局は、HDTVよりもカネになるワンセグのほうに期待しているようだ。
しかし、その実態は、HDTVの映像を携帯電話の上半分に表示し、下半分に文字放送を表示するもので、映像のスーパーはとても読めない。下半分に出る文字放送も、予算がないので画面と連動したものを出すのはむずかしいという。BSデジタルで挫折したデータ放送の二の舞になるのではないか。
しかし、その実態は、HDTVの映像を携帯電話の上半分に表示し、下半分に文字放送を表示するもので、映像のスーパーはとても読めない。下半分に出る文字放送も、予算がないので画面と連動したものを出すのはむずかしいという。BSデジタルで挫折したデータ放送の二の舞になるのではないか。
NTTグループが、再々編にむけて動き出したようだ。この案は、われわれの「電話・IP分離案」と似ているが、「ループ(0種)会社」を分離しないところが違う。
これはおそらく、0種会社をつくると、銅線だけではなく光ファイバーまで分離させられるのを恐れたためだと思われる。しかし、NTTのシェアが90%を超えるローカルループは、明らかに独占的なインフラであり、公正接続を担保するためにも、銅線だけは分離して開放義務を課したほうがよい。その代わり光ファイバーの開放義務ははずし、東西会社は合併してもいいだろう。
今回の案は、NTT法を改正しないで再々編を行うというアクロバティックなことをやろうとしているが、そういう中途半端な措置では、またすぐ再々々編が必要になるだろう。どうせやるなら、国民的な議論をして、NTT法を改正(あるいは廃止)したほうがいいと思う。
これはおそらく、0種会社をつくると、銅線だけではなく光ファイバーまで分離させられるのを恐れたためだと思われる。しかし、NTTのシェアが90%を超えるローカルループは、明らかに独占的なインフラであり、公正接続を担保するためにも、銅線だけは分離して開放義務を課したほうがよい。その代わり光ファイバーの開放義務ははずし、東西会社は合併してもいいだろう。
今回の案は、NTT法を改正しないで再々編を行うというアクロバティックなことをやろうとしているが、そういう中途半端な措置では、またすぐ再々々編が必要になるだろう。どうせやるなら、国民的な議論をして、NTT法を改正(あるいは廃止)したほうがいいと思う。
民主党の新代表に前原誠司氏が選ばれた。彼の考え方は、とくに外交・防衛分野では自民党とほとんど変わらないといわれるが、これは小選挙区制の必然的な結果だ。選択肢が2党しかない場合、なるべく中間的な有権者(median voter)に近い政策を掲げるようになるのは世界的傾向である。
先日の総選挙でわかったのは、日本のmedian voterは、かなり「小さな政府」に偏っているということだ。郵便局のユニバーサル・サービスなどには、都市の有権者は何の関心も持っていない。だから前原氏が「効率的な政府」を掲げて歳出削減を強調するのも当然だ。しかし、それだけでは「自民党でいいじゃないか」ということになってしまう。
だから民主党に必要なのは、「製品差別化」ができる別の次元を見出すことだろう。それが「年金と子育て」というのでは弱い。マニフェストをみても、「食料自給率50%」など変な政策が並んでいる。政策についても「解党的出直し」が必要だ。
先日の総選挙でわかったのは、日本のmedian voterは、かなり「小さな政府」に偏っているということだ。郵便局のユニバーサル・サービスなどには、都市の有権者は何の関心も持っていない。だから前原氏が「効率的な政府」を掲げて歳出削減を強調するのも当然だ。しかし、それだけでは「自民党でいいじゃないか」ということになってしまう。
だから民主党に必要なのは、「製品差別化」ができる別の次元を見出すことだろう。それが「年金と子育て」というのでは弱い。マニフェストをみても、「食料自給率50%」など変な政策が並んでいる。政策についても「解党的出直し」が必要だ。
日経新聞によれば、これまで番組のIP配信を拒否していた民放キー局が、ソフトバンクに配信することで合意に達する見通しだという。情通審の答申でIP配信が認知されて、ようやく不毛な争いに終止符が打たれそうだ。
同時に、BS朝日とUSENが業務提携したり、TBSがeアクセスに出資したり、テレビの側からインターネットを取り込もうとする動きも出てきた。インターネットをよく知らないまま恐れていたテレビ局が、ようやく「通信と放送の融合」のメリットに気づいた・・・のであればいいが。
同時に、BS朝日とUSENが業務提携したり、TBSがeアクセスに出資したり、テレビの側からインターネットを取り込もうとする動きも出てきた。インターネットをよく知らないまま恐れていたテレビ局が、ようやく「通信と放送の融合」のメリットに気づいた・・・のであればいいが。
ハリケーン「カトリーナ」の被害の全貌は、10日たってもわからない。最大の問題である死者の数さえ「数千人」というレベルだ。この対応のまずさは、スマトラの津波以下である。
その原因として、ブッシュ政権が対テロ対策やイラク戦争に予算をかけすぎ、災害対策をおろそかにしたことが指摘されているが、根本的な問題は市街地の大部分が「ゼロメートル地帯」にあるニューオーリンズの地形である。
復興の費用と便益を考えた場合、今回ぐらいのハリケーンがまた来る確率は長期的にはかなり高いし、堤防がテロリストにねらわれるリスクもある。今後の対策を考える際には、Posnerも指摘するように、ニューオーリンズを「復興」するだけでなく「放棄」するオプションも考慮に入れる必要があろう。
その原因として、ブッシュ政権が対テロ対策やイラク戦争に予算をかけすぎ、災害対策をおろそかにしたことが指摘されているが、根本的な問題は市街地の大部分が「ゼロメートル地帯」にあるニューオーリンズの地形である。
復興の費用と便益を考えた場合、今回ぐらいのハリケーンがまた来る確率は長期的にはかなり高いし、堤防がテロリストにねらわれるリスクもある。今後の対策を考える際には、Posnerも指摘するように、ニューオーリンズを「復興」するだけでなく「放棄」するオプションも考慮に入れる必要があろう。
けさの各紙の世論調査は、そろって自民党が単独過半数の勢いと報じている。保守党が「改革」や「小さな政府」を旗印にして野党を圧倒する状況は、1980年代の英国に似ている。先進国が一度は通らなければならない局面なのだろう。
民主党の最大の失敗は、前の国会で郵政民営化に対案も出さずに反対したことだ。今ごろになって岡田代表が「将来は民営化もありうる」などとぶれた発言をし、かえって混乱している。現在の郵政民営化法案が大した改革にならないことは事実だとしても、一般の選挙民には、公社を維持するという民主党が、歯切れの悪い「守旧派」にみえることは避けられない。
集票基盤を都市の中間層に求めることは民主党の課題だったはずだが、今回は「改革」の旗印を自民党に奪われたことで、逆転してしまった。しかしEconomist誌も指摘するように、今回の自民党の「変身」が成功すれば、日本の政治全体が古い利益集団中心型から大衆社会型への後戻り不可能な変化をとげることになろう。
民主党の最大の失敗は、前の国会で郵政民営化に対案も出さずに反対したことだ。今ごろになって岡田代表が「将来は民営化もありうる」などとぶれた発言をし、かえって混乱している。現在の郵政民営化法案が大した改革にならないことは事実だとしても、一般の選挙民には、公社を維持するという民主党が、歯切れの悪い「守旧派」にみえることは避けられない。
集票基盤を都市の中間層に求めることは民主党の課題だったはずだが、今回は「改革」の旗印を自民党に奪われたことで、逆転してしまった。しかしEconomist誌も指摘するように、今回の自民党の「変身」が成功すれば、日本の政治全体が古い利益集団中心型から大衆社会型への後戻り不可能な変化をとげることになろう。