日刊文藝事情


12/21、改装しました。内容は日記です。


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12/11  12/14  12/15  12/16  12/18  12/19  12/20  12/21 <第2号(12/23〜>


1997.12.11
 朝っぱらから叩き起こされる。なんと『護衛』にバグ発生。まあ、とはいっても文章の乱れなのだが。『いう』が全て『言う』になっているという初歩的ミス。確かに著者校のまま・・・という事は2年前の状態のままHTML化してアップしたのが不注意だったという事だろう。アシ(母)は激怒している。
 index.htmをサーバから削除、代わりにindex.htmlをアップする。ところが上手く動かない。代わりにSELFという短編を載せたのだが、そのファイル名がマッチングしないらしい。何度もアップして、ブラウザで見て・・・を繰り返す。なぜだか分からない。インターネットサーバはファイル名の大文字・小文字を認識するのだろうか。とにかくいじくっていたら何とか動くようになった。(なんてファジイなんだ(笑))。
 疲れたので安定剤を飲んで寝る。

 13時頃目覚める。私の飲んでいる安定剤・睡眠剤は完全自殺マニュアルにも載っているヤツだが、私は自殺を考えなくなった。実は何度か自殺未遂をしているのだが、こうしてここに書けているとおり、いずれも失敗している。とくにそのうちでは首吊りが一番効果が高かった。大学受験前夜、前途を絶望して自殺を図った。失禁したところで首をつっていたバンドが切れて、私は死ねなかった。以来、自殺する気力も失せた。まあ、それから後1年で出版の話が来たので、人生というモノは全く分からない。大学には行けなかったが、作家にはなった。でも、その作家業も今危うくなっている。まあ、作家にはなっているのだし、こうして発表の場があるだけで充分幸せなのだが。
 ちなみに私の昼の仕事は親戚の食品会社の企画営業です。ホームページを使って広報と注文取りをするという仕事です。一応在宅勤務ですけど、メシ代を抜いたら逆さにしても鼻血も出ません。講談社から出した本の印税で、なんとか累積赤字を解消したものの、残りの額はPlay Stationの『電車でGO』をコントローラーとセットで買うと無くなってしまう程度でした。
 まあ、作家専業だなんて今は無理だそうです。ネット課金がもっと普及して、作品をダウンロードするとシェアウェアのように課金される、というのが私の理想です。第一、出版社が本の6〜7割を懐に入れてしまうのが納得行かない。私に入る額は1割。つまり、1冊当たり95円なんです。これではコンビニでバイトした方がまだマシ。だって、今回の本(『プリンセス・プラスティック〜母なる無へ〜』は1年以上かかりきりだったんですから。1年間の収入がこれでは納得行かない。
 納得行かないと言えば、その『プリプラ』の評判。エヴァ入っている、というのは否定しません(おいおい)。だって好きなんだもん。でも、影響を受けるというのは仕方がないことと自分では思っています。第一、エヴァだって庵野監督が様々な他のクリエイターの影響を受けていると公言しているはずです。いわれて今、ビデオを見るとエヴァ風、という演出も、実相寺監督あたりからきていると分かるのもあります。
 ちなみに『プリプラ』は現在書店店頭分でおしまいです。講談社にも取り次ぎにも在庫はなく、続刊も増刷もありません。続刊はこのホームページのみということです。まあ、私は出版界に干されたんですね。安易にエヴァへのオマージュを込めた私がいけなかったんでしょう。自責しています。確かに褒めてくれる人もいるのですが・・・(特にラストとか)。
 また、挿し絵・カバー・冒頭の学祭クイーンを決めるシーンは全て担当さんの命令です。人のせいにするようで心苦しいのですが、仕方がありません。挿し絵・カバーについては事後承諾のみ。大森望さんのエヴァ入ったコメント・帯も事後承諾・・・ですらありませんでした。私がそれを初めて目にしたのはみなさんと同じ、書店店頭でです。悲惨! 
 『です・だ』が混じっている文章だけれど、これはあえてこうしています。他の人の事について書く時は『です』、出来事は『だ』と使い分けています。まあ、それだけ心が乱れているということなのです。




←これが拙著『プリンセス・プラスティック〜母なる無へ〜の表紙です。
 ご覧になれなかった方へ、サービス、サービスゥ。
 講談社ノベルズ、ISBN4-06-181993-3、本体価格950円



 ここ数日は苦しかったです。担当さんに『他社でもお前は本を出せなくしてやる』とか、『お前は作家として成立していない』とか2時間ギュウギュウ言われたのが効きました。良い担当さんだったのに、なぜこんなに・・・と思うほどの豹変ぶりでした。1年前には私の文章修業のために栗本薫さんの『小説道場』(これは中島梓名)を送ってくれたりしたのに、突然・・・。同一人物がなぜここまで出来るのかと驚きました。プリプラの世界観も、以前は褒めていたのに、その反省会では『ノベルズは暇つぶしだ、2〜3時間暇がつぶせればそれでいい。世界観も人間性もいらない。パズルのように事件が解かれればそれで良いんだ』と仰いました。尊敬しさえしていたのに・・・。気分はエヴァのシンジくん(夏映画版)以下になってしまいました。パズルだったら公務員試験の判断推理の問題集を見るほうがよっぽど頭の体操になるのに。

 ともかく、目覚めてみると母が私のイラストのフィニッシングをしている。やはりちゃんとした人に仕上げを頼むとデッサンとかいいかげんな絵でもちゃんとまとめ上げてくれるから凄い。今日の新作はindex.htmに載せた飛んでいるシファの絵です。翼はバイオプラスティック。先端が変わったかたちをしていますが、それは空力性能を上げる『ウイングレット』というものです。ご参考まで。最近では最新鋭のジャンボ機、B-747-400などに採用されています。ああ、こう言うことを書きたいけれど・・・(と言いつつ、ここに書いてる)。
 顔の仕上げについては昨日から大変でした。縮小すると目が点になってしまうんです。結局大きめに書いておくということにしたんですけれど、母は納得しない。やはり縮小しても顔はちゃんとした顔でないとダメだというのです。まあ、押し切りましたけど。



 15時、index.html(仮掲示)を削除、SELFとリンクさせ、『護衛』とのリンクを切った改善版index.htmをアップ。しかし、なぜかSELFの『戻る』ボタンがおかしい。ちゃんとサーバ上で更新しているはずなのに、仮掲示を探しに行ってしまう。原因不明。ということは、サーバがファイル名の大文字・小文字をそれぞれ認識しているのか。ワードパッドで確認するとちゃんと本掲示に戻るようになっているのだが。納得できない。
 まあ、こういう不安を解消するにはファイル名を全て小文字に揃えることしかないと断念。17時、作業再開。

 ちなみに、表紙の女の子(レオタード姿)は
パワードスーツレンジャーの香椎さん(香椎のりこ2尉)。ヘンな衣装を着ているのは悪役オンライン人工生命オブジェクトのクドルチュデス。プリプラをお読みの方はハハンと納得なさることでしょう。こっちのほうが作者としてはイメージにあっています。クドルチュデスはお気に入り。『チュチュ様困っちゃう』とか言う台詞が効く。とくに大森望さんも『さん』付けで呼ぶほどキャラが立っていました。他のキャラが立たなかったのは計算の上なんだけれどなあ。

 そういえば、このページへのクレームに、禁則処理の問題がありました。でも、ブラウザの画面の大きさによって文章の折り返しは勝手に変えられてしまうのでは? こういうところすらわからないのにHPを開けるところがなんだかネットの魅力かも。だれか、こういうことをきちんと本にしているひとはいませんか?

 結局、朝8時に閉鎖してから15時までの7時間の閉鎖となりました。テレビだったら放送事故ということでクビになっていただろうな。まあ、お許しを。でも、閉鎖中の掲示をご覧になった方はある意味ラッキーかも。(←反省してねーな、こいつ)
 そういえば、友達にタロットで占って貰ったら、私のプロパティは『逆さ吊りにされた男』だったなあ。確かにあっているかも。でも、逆さ吊りの原案は確か、仏教の『盂蘭盆』だったような気がする。人間みんな逆さ吊り。生きることは苦しい。でも、出会いと信頼の輝き・煌めきを信じて、生きるしかない。
 いつだって生きるのを辞めることは出来る。今は、それを選ぶ必要はない。


 というわけで、HP更新日記は事故から始まりました。HP更新と同じく1週間以内のインターバルで更新しますので、お暇ならまたご覧下さい。


97/12/14
 行きつけのチャット・日々是好日を出て更新作業。とはいってもアップよりも下準備の文章の書き直しがメイン。ひたすら地味な作業。赤ペンで句読点位置を調整したり、漢字使いを調整したりする作業です。まあ、『直し・イズ・マネー』と言うぐらい直しは読みやすさの向上に効果があるのでやり甲斐はあります。
 金曜日は映画を見に行ったのですが、途中で不安発作が始まったので病院に行きました。私の一番の問題は『不安』です。脳と心の関係を論じた本には多い記述ですが、不安というものは原因があるから起きるものとは限らないようです。つまり、脳細胞が異常をきたし、神経伝達物質が過剰に分泌されると不安という感情が生じる、という事のようです。
 脳内麻薬という名前が『脳内革命』で有名になりましたが、脳内不安物質というものもあるとのこと。私の状況はまさにそれ。理由が無く不安になるのです。いてもたってもいられない焦燥感に苛まれます。そういう時に効くのがベンゾジアゼピン系の抗不安剤。今はこういう便利なものがあるのです。太宰も芥川も川端康成もきっとこの薬があれば自殺なんかしなかったでしょう。一般の人には殆ど作用しないが、脳内不安物質の作用だけを押さえるという薬です。
 私の主治医のいる病院は山之内製薬と組んでいるので、商品名『ワイパックス』を使います。家では『ワイパックス』を飲むのですが、出先で飲むのは躊躇われていました。しかし、お医者さんに聞くと、12.5mg錠であれば副作用の眠気もほとんどないとのこと。
 緊急だったので、ワイパックスが腸から吸収されるのを待たずに注射ということになりました。注射の場合は『ホリゾン』を使います。ほとんど同じ薬ですが、『ホリゾン』は若干弱いとのこと。注射は静脈に注射するのではなく、肩に打つ筋肉注射。これが絶句するほど痛い。針が刺さってもほとんど痛くはないのだけれど、薬液が筋肉組織を割り裂いて注入されるのが痛い。その痛みは不安どころではないほど大きかったように思います。
 ともかく注射によって劇的な回復。こう書くと夢の薬のようですが、普通の人には殆ど作用しません。麻薬じゃないのですから、気持ちよくはなりません。普通に戻るだけです。しかし、その普通に戻るということがいかに有り難いか。ダウン系のクスリを不法に入手して試す人もいるようですが、それほどに現代人は閉塞しているのでしょうか。苦痛にすら飽きているということなのか。この問題は何日かかけて考えてみます。
 スキャナの交換作業が終了。これでカラーのイラストをアップできるようになりましたが、色調整が気が狂わんばかりの難しさ。可変要素が多すぎます。今のところトップページのシファと、軽護衛艦<あしがら>のカラー化を行っていますが、上手くいきません。でも、なんとかします。
 改めて用語集を見てみると、HPエディタとブラウザの間の連携が上手くいかないことから来るミスが判明。掲示前に見つかったので良しとする。早速修正。

 カウンタ設置からわずか2日でアクセス件数が70件を越えました。嬉しいです。感謝感激。みなさんにはただただ感謝の気持ちでいっぱいです。メールも4通届きました。メーリングリストは一つも入っていないので、メールが来ると嬉しいです。掲示板が出来ればもっと良くなると思うのですが・・・。MAPMAPさん、早く返事下さい。
 というわけで、手動掲示板としてメールへのお返事をします。



 まず、最初のメールはチャット(HP
日々是好日−日々是チャット)でご一緒させていただいている矢麻乃さんからです。
 『幻の2巻読了』という標題でした。でも、このページに掲載されていたのは(今、修正作業のために掲載を停止しています)は2巻ではなく、0巻なんです。担当さんにプレゼンするためのパイロット版なんです。プリンセス・プラスティックの原点です。しかしながら、いつも通りのなかなか的確な指摘にはただただ感謝。シファの夢のシーンが唐突なので不要では、という意見は有り難く拝聴させていただきました。キーティングも取材したネタを全て載せようとしてしまう作家根性の罠に言及しています。ネタはロケットの発射台、作品というロケットを打ち上げるためのもので、ネタを誇らしげに並べ立てるのは下策、といっています。矢麻乃さんのご意見はまさにそれです。ありがとうございました。『言う』の使い方は私のシロウト時代の悪癖です。直していきます。0作目の時はシロウトだったんです。ちゃんと今の私をご覧いただけるよう、更新して参りますので、よろしく。

 続いて、TK386さん。この方もチャットでおつき合いしている方です。
 Project Princess Plasticの意味についてのご質問でした。
 Project Princess Plasticというのは基本的には文学運動を狙っているプロジェクト名です。SFをSFとして発表できない現在をなんとか変えていきたいという志です。SFの原点、サイエンスと文学の融合。サイエンスに走りすぎて難解でもダメだし、文学・エンターテイメントに走りすぎて技術考証が甘くなるのも避けたい・・・。微妙なバランスですが、それを追求していくのがProject Princess Plasticなのです。
 リンクを張って下さるというので、こちらからもリンクを張ります。TK386さんのホームページは『FRESH NET』です。アニメ・ゲームのなかなか濃いネタがありますので、よろしく。ちょっとトップページに大きなグラフィックファイルを使っていますが、ほんのインターバルと思ってご覧下さい。内容はなかなか来るものがあります。私なんかはかなり心くすぐられました。ちなみに、HPのトップページの適正サイズは80K以下だそうです。HP作成の道は厳しいですね。

 次はかっぽんさん。この方もチャットでご一緒させていただいている方です。
 お話はHP上での禁則処理について。<NOBR><WBR>タグを使用すると良いとの情報。早速実験してみます。どうやら、私の使っているHPエディタがサイズ4を指定した行で<BR>を勝手に使ってしまうようです。基本的にこのページはSVGA(800*600)の画面サイズをターゲットにしていますが、XGAやHXGAをお使いの方もいらっしゃるでしょうし、モバイルマシンのVGA(640*480)という方もいらっしゃるでしょう。全ての方にストレスなくご覧頂きたいのですが、難しいですね。ともかく、もっと修業します。かっぽんさんのHPは『Kappon's Room』です。なかなか軽快なページです。SF作家の著作リストには迫力を感じました。主な対象作家は4人ですが、未訳作品のタイトルまでフォローしているところは凄い。原書で読まれているとか? 怖いぐらいです。お忙しいでしょうが、さらなる更新にも期待。1年前はかなり寂しい感じでしたが、久々に覗いて感心させられました。一昨年はまだ日本語でネットが出来るだ何て夢でしたね。互いにHP道を極めましょう。

 でも、みなさんの読書量には本当に感服します。私は中学時代から取材のためにしか本を読んでいません。メモを取り、マークを付けながらなので量が少ないのです。みなさんの知識にはとうてい敵わないです。作家にとって一番怖いのは創作の苦しみに疲れて安易に流れようとしてしまう自分ですが、その次に怖いのは読者です。

 最後は初めての方。タニグチリウイチさんです。励ましていただきました。私めのページの情報が少しずつ広まっていることが分かりました。無上の喜びです。プリプラ(TALK6)を堪能なさったとのこと。嬉しいです。
 キーティングをして盗作か仮借かの境界はグレーの細い線であるそうです。自己弁護するようですが、確かに私はいろいろな方の影響を受けたのは事実です。でも、偉大な劇作家・モリエールに至っては『わたしはどこで見つけようと、気に入ったものは使う』と言い切っています。結局、うじうじと最後まで自分のオリジナリティを自分に問いかけ、苦しみました。でも、『堪能しました』の一言で救われました。私にしか書けない話、目指します。今までも目指してきましたが、さらに厳しく攻めていこうと思います。ご笑覧下さい。タニグチさんのHPにもリンクしようと思ったのですが、アドレスが若干違うのか、探し当たりませんでした。ご一報下さればフォローしますので、よろしく。メールに記されていたhttp://www.asahi-net.or.jp/~wf9r-ntgcでは見つかりませんでした。残念。



97/12/15
 ついに更新日を迎える。ウチはPC-9821La13とPC-486noteASの2台の間をフロッピーで結んでいるので、ファイル管理が大変。LANの導入を真剣に考えてしまいました。でも、Windows95とDOS5.0を結ぶにはどうやったら良いんだろう。サイバー書いている割にはそういうことに疎いんです。だって、すぐ変わっちゃうんだもの。Windows95だってメモリ16MBあればオッケーのはずが32MBでも少ないという話になっているし。これはメモリ業界が売り込みを掛けているからなんでしょうね。大人ってずるいなあ(笑)。

 タニグチリウイチさんからメール。正しいアドレスが送られてきました。いそいそとネスケに打ち込むと・・・そこに表示されたのはなんと、あの有名な
『裏日本工業新聞』ではありませんかッ。わーっ、わーっ、わ−ッ。たしかに、いつか見たアドレスだなとは思っていたのですが・・・。私がプリプラ(講談社ノベルズ版)の発売で意気消沈してシンジくん(夏版)しているときに読んで励まされたホームページです。ありがたやありがたや。カウンタが妙に増えているので驚いていたら、こういうことだったのか。こういうことだったのか・・・リリン!(だから、こーゆーことを書くから言われるんだってば)
 メールでは大森望さんが拙著のレビューを『アニメージュ』と『本の雑誌』に書いているとのこと。早速書店でチェック。


 でも、裏日本工業新聞のトップにこのページのリンクが書かれていたのは嬉しいです。出版界の手のひら返しにはもう疲れました。潰されるつもりはありませんが、必要以上におつき合いするつもりはありません。どうやら干されたみたいですけど、私はこのページで頑張ります。まあ、焦らずにじっくり構えていきます。ともかく感謝感謝!

 挿し絵のカラー化は順次進めて行くつもりです。スキャナが修復されたのでカラーが使えるようになりました。トップのシファの絵は一時期ノイズが多くてそのうえ緑がかっていましたが、なんにもしないのに再スキャンするとドンピシャでした。これからも随時カラー化していきます。重くなるようでしたらグレースケールのままにしようとも思っているんですけど・・・どうでしょう?

 ちなみに13:30現在でアクセス数は341。月ごとにリセットしようかなどと思っています。JustnetのCGIカウンタのリセットって非常に簡単なんです。お奨め。昨日のテレホタイムはページを再読み込みするごとにアクセス件数が増えてビビリました。一応、アカウントごとに集計するので、再読み込みで増えたのではなく、アクセスがあったという事のようです。ともかく、みなさんには感謝感謝。講談社よ、さようなら。担当者さんへ、ありがとう。そして全てのチルドレンへ、おめでとう。
 ここ数日はH.R.F.キーティングの『ミステリの書き方』を読んでいます。始めから読むのではなく、気に入ったところから読み始めるという私のスタイルで読むので厳密ではありませんが、ほぼ完読と呼んでも良いでしょう。パクリの問題について、キーティングも苦しんだようです。劇作家のモリエールは『わたしはどこで見つけようと、気に入ったものは使う』と言い切っているようです。パクリは本人が一番分かるので辛いのですが、ある程度になるとこのように言い切れるのかも知れません。私はまだまだ修行が足りません。
 まあ、修業は一生続くでしょう。
 でも、修業は辛くないんです。
 ただ、信じていた人に裏切られることほど辛いものはないです。
 まだショックさめやらぬまま、この文章を書いています。



12/16
 何といっても嬉しいのが今日からテレホ+完全定額制プロバイダによる繋ぎっぱなし体制が確立したこと。これはすごいです。
 そう言えば、私のおじさんの話をしたいんですけれど、ちょっと商用がからむので悩んでいます。鉄道公安官で大活躍した人なんですけど、いまやっている仕事がどうも・・・。面白いんだけれど、もう少し様子待ちにします。要望があればアップしますので、ご連絡お願いします。
 あ、それから、TK386さんの気分を害してしまったようで申し訳なく思っています。でも、従量制プロバイダを使っている人はネスケで「残りn秒」と表示されると「読み込み中止」を選びたくなるものです。事実、数ヶ月前までの私がそうでした。転送中でも絵の概略が分かれば、という事でインターレースgifを使っているわけです。接続したら画面真っ白、というのは気持ち悪いです。でも、JPEGとgifのどちらがよいかは未だに迷います。私もキャッシュをクリアしてこの自分のページを読むときに「残りn秒」が出て焦りました。キャッシュがあるから私が見る限りではこのページは軽いのか、それともトラフィックが混雑しているのか。未だに分かりません。ともかくJustnetがフォームCGIをサポートし始めたので、アンケートを採ることにします。ご協力お願いします。フォームは
トップページの一番下にあります。
 HP作りはそういった心理の読み合いだと思うのです。まあ、これも56kやISDNを引けば解決してしまうんでしょう。過渡期的問題です。ともかくご意見を下さる盟友(勝手にこっちがこう思ってるだけかも(汗)TK386さんのHPはここです。TK386さんのネタにはシンクロ率が思わず高くなってしまう私ですが(特にゲームの所など)、さらなる更新に期待。



12/18(12/17は欠番)
 昨日は吃驚した。なんと、あの(省略)編集から電話が来てしまった。しかも夜10時である。いったいどういうつもりなのか理解しかねる。ここでこういう話をしているのが伝わったのか、必死の自己弁護。「そうは言っていない」「そう言うつもりじゃない」「前後の文脈を判断してくれ」というように水掛け論にしてしまうので全く話にならないし、自分の責任も当然全く認めない。カバー・挿し絵・書き出しについても「あれだから売れたんだ」式なので、嗚呼この人にはなにを言っても無駄なんだなと思う。
 私を育てたモトを取りたいということで2作目を書かされることになりそうな雲行きである。しかも2作目はPrincess Plasticではなく、時間トリックSF・ミステリー風という企画である。編集はそれどころか純粋ミステリーを書かせたいようだが、そんなモノ書いたら使い捨てされるのが関の山。ミステリーだったら何も私でなくても書けるはずだ。確か、メフィスト賞への持ち込みでたくさん面白い原稿があるとのこと。ならば私でなくても良いはずだ。私が書く以上、SFという素材を使ったものにしたいと頑として主張。
 でも、結局私はその交渉をまとめかけてしまった。全く、自分の優柔不断さには腹が立つ。頼まれるとイヤとは言えないし、あれだけ生きるか死ぬかの所まで追いつめられたのにまた話をしてしまうし・・・。電話を受けたときは妖気(笑えないところがきつい)に身の毛をよだててしまい、がたがた震えて受話器も持てなかった。でも、さいごは「どーもー!」 何なんだ私は。ともかく26日までに企画を上げるように頼まれるが、こっちとしても納得行かない。26日というのも編集の正月休みが27日からなので(つくづく大企業だなと思う)というので、付き合ってやる必要はないと判断。締め切りを先送りする。
 第一、HPを開設したのも、もうあの(省略)編集とはおつき合いしないという最終決断だったので、そこまで追いつめておいてなにを今更という気で思わず文章も乱れてしまう。
 ここ数日は何も考えずに『電車でGO』(コントローラー付き。今日発売)で遊び、何も考えずに眠りたい。
 昨日は昨日で一つの人生を考えさせられてしまったぐらいシビアだったのだ。自衛隊厚木基地の日米合同餅つき大会に参加したのである。私の父親は家に帰ると単なる酔っぱらいオヤヂだが、昼間は海上自衛隊51空、つまり海上自衛隊審査航空隊の幹部、将校なのである。
 そして、その大会で私は一人の女性に強く心惹かれてしまった。
 でも、私にはそれは許されない。
 講談社とも話が潰え、おじさんの食品会社の企画営業とHP更新と読書だけの毎日。
 周囲には『天下の素浪人になった』と笑っていたが、この生活では恋愛もできない。自分に全く自信がないのだ。
 私は誰も受けとめられない。
 でも、私は同時に、もう私にだれも巻き込みたくない。
 一人で生き、一人でそっと消えていきたい。
 自分でさえ自分を持て余しているのだから。

 深い無力を感じ、私は辛くなって基地を後にした。

 そこまで思い詰めて小説に人生かけているのに、徹底的に志や自尊心を踏みにじっておいて、たった電話一本で『また書け』、だなんて・・・。

 私って大バカ。

 まさに小説に取り憑かれた人間の悲劇である。

 どうしたらいいか、自分でも全く分からない。10:54現在、未だに心の整理付かず。
 ネットに骨を埋めるほどの覚悟をしていたのに・・・。
 でも、逃げちゃダメだ。
 では、あの編集の無茶さは、必殺手のひら返しは? 全く是正されないのか?
 一応、これからは交渉時には立会人を追加し、電話は録音することとしたが、それで良くなるとも思えない。
 非力だ。
 なんだかゲンドウに裏切られたリツコさん+シンジくんという心理状態である。
 ここ数日の話だけでまた短編が書けてしまいそうだが、その気力も沸かない。

 ともかく電車でGO+専用コントローラーを購入。無心にプレイする。山陰線はアーケード通りのやり方ですぐにクリア。初級編だというのにエンディングがあるというのがよい。コントローラーは値段の割には思ったより良い出来。と思ったらやっぱり中国製。中国に人件費という言葉はない。

 読んで欲しいから本を書いた。お金は全く考えていない。収入は小説を書かなくともそこそこあるのだから。しかし、現実には発行部数がどうの、取り次ぎがどうので読みたい人に届かない。これでは全く意味がない。一番大事なPrincess Plasticも出せないというのでは完全な徒労。HPに全てアップするのが一番いい。もっとネット接続者が増えていればHPオンリーにしたいぐらいだ。でも、できない。
 自分に自信が無いというのは仕方がないかも知れない。24年しか生きていないのに60・70歳の人間を書く時点で無理があるのかも知れないと真剣に悩んだときもある。
 でも、創作の悩みのほうは遙かに建設的だ。
 こうして編集と言った言わない式に言いくるめられ、書きたくもないシーンを書かされ、出したくないような本を仕立てられ、挙げ句の果てにその責任が全部私というのでは話にならない。今から印税全部返納するから二度と電話するなと言ってやりたいぐらいの怒りがわき起こる。ここまで精神的に攻撃されたのではアスカになってしまう。事実、昨日の夜、私は303病室のアスカでした。
 それに、決定的だった12/3の会合の時は絶望して電車に飛び込むところでした。事実、それだけきつく言われたのです。でも、『あのときは心配しましたよ』と今更の電話。本当に心配したのだったら家に帰っているかどうか遅くても次の日には電話をかけるのが普通だろう。確か、『君が夭折したらそれはそれで本が売れる要素になるので』、という事も言っていた事を思い出す。人間かアイツは。怒りが沸いてくる。たぶん人間じゃないでしょう。MIBのゴキブリ星人よりもさらにたちが悪い。京極堂さんにお払いして貰おうと思ったが、やはりここは本家鬼太郎さんに頼むしかない。
 18時まで6時間眠る。いろいろ考えて疲れた。
 中学時代からの親友モリに電話。


12/19
 意を決し、電話で編集部に『警察モノは書かない』と宣言。ミステリーのほうが売れるからとSF作家にミステリーを書かせようというのはSFをバカにしていると思うし、ミステリを本業としてやっている人に対しても失礼だと思ったからである。第一、Princess Plastic自身が売れているのになぜいきなり別路線に転換せねばならないのか理解に苦しむ。特にPrincess Plasticは私の創作活動のメインである。これを捨てろというのはあまりにも理不尽である。私は読む人に最高のものを提供したい。一時の浮き草のようなミステリなど書いては信義に反する。ミステリ風のものは書けなくもないが、ミステリーはやはりミステリ本業の人に頼むべきだ。
 19:21、編集から携帯電話が入る。かなり慌てた調子であった。12/3と同じ人物かと思うほど私を褒める。でも、作家として成立していないと私をこき下ろしたのはあなたではないか。私はもうダマされない。「Princess Plastic以外は書く気がしないし、責任もとれない。ミステリはいつになったら書けるか分からない」と言い切る。編集は「いつまででも待ちます!」と哀願調であった。全く理解に苦しむが、私はこれで心のセントラルドグマの防衛に成功した。
 晴れやかな気分である。確かに私のように仕事を選ぶのはプロ精神に反しているかもしれない。しかし、自分で責任のとれない浮き草のような作品を垂れ流すよりはマシだと思う。作者として読者に対しての責任がある。それに、浮き草ではないホンモノのミステリが書ける作家の邪魔にはなりたくない。

 メールチェック。一通は馴染みの電気屋さん。このPC-9821La13の導入の時にはかなり無理をして貰ったようで気が引けていた。また来ますとのこと。ありがたいことである。
 もう一通は菊池乃輔さん。一見さんである。一見さんからのメールというのは本当に有り難い。作家になったんだ、と言う実感が沸々と湧く。応援していただいた。これもありがたい。ノベルズ版の挿し絵についても同意見。でも、担当編集は全く反省していない。お買いあげになった方は出来ればノベルズに添付してあるアンケートハガキを書いて下さい。私が口で言うよりも一番彼を反省させる材料になると思います。


12/20
 今朝は何だかミリタリー心がうずく。東京ファントム相模原店に行ってしまおうかと思うが、軍資金をそういうことに使ってはならないと留める。
 Yahooで『障害者』をキーワードに検索。視覚障害の方に私めの本を読んでもらえるようにする計画をメールで次々と送信。一つは
『これからの電子出版』http://www.mnet.ne.jp/~horisan/。もう一つは電子点字図書館、http://www.infosnow.ne.jp/~rira/。やはり読んでもらえることが一番嬉しい。でも、それが納得行かない作品だと悲しい。だから0話『護衛』は中断してます。もう一息納得のいくところまで煮詰めて再掲載するつもりです。電子出版はこれからの流れだと思います。ザウルスやMobile Gear、そしてWindowsCE2.0を搭載したPDAを使ってダウンロードした小説を見るという習慣は定着し得るものだと思うし、手足などが不自由でも電子出版なら見ることが出来る。ページめくりというのは怪我をしていると意外と難しいことだと思う。私なども骨折したときはかなり難儀しました。京極夏彦さんの本を通勤中にずっと手で持って読むというのはかなり苦しいと思う。私の『プリプラ』でさえかなり厳しかったんです。
 満員電車の中ではやはりPDAが有利。というわけで新聞業界は少しずつその方向へシフトしていっているのだが、ノベルズ・小説業界は余りその話を聞かない。パピレスなどの例はあるものの、魅力的な小説はまず紙媒体で、という事になっている。これは出版サイドが利益の関係で紙媒体に作品を閉じこめているとしか思えないです。私はその姿勢に疑問を抱くから、こうしてここに書いているわけです。さすがに霞を喰っては生きていけないと思うし、それに『無料』という前提で見られると送り手・受けて双方が堕落するので何らかの課金システムを導入したいのですが、それは遠い先の話。私はまだまだ修行中だし、読んで貰うことがまず第一。というわけで無料で行きます。短編もおそらくずっと無料でしょう。
 無料で堕落、というのは母の工芸教室を見ていて切に感じます。緊張感が無くなってしまうのです。お金を出しているならば、その作品がクズだと文句を言いたくなるし、その文句を聞いてお金を貰ったほうも自分を省みて成長できます。しかし、『無料』では、「まあ、どうせタダなんだから」ということで受け手・送り手の間に何のやりとりも成立せず、送り手はただただ堕落し、混迷するだけです。小説もお金を介在させることによって半強制的にインタラクティブにして、その上で高みを目指すものだと思うのです。
 今のところは勿論無料です。しかし、みなさんに本当の意味で評価を下していただきたい作品が出来た暁には、お金を頂くことになるかも知れません。しかし、今、私の昼の仕事の企画営業で調べている限りでは、その場合でも全500ページ程度で新作も1冊250〜300円(諸経費全て込み)という事になると思います。それで充分やっていけます。パピレスは出版社やネット会社が儲けすぎです。
 まだまだ勉強の途中で下世話な話をしてしまいましたが、単なる趣味ではなく真のエンターテイメントを目指すためには、こういう方向も必要かな、等と考えています。
 ご意見お待ちしています。

 メールを羽根伸一郎さんから頂きました。2度目のメールです。ありがたやありがたや。リンクの登録のお申し出でした。リンクフリーなんですから、なにも・・・とは思うものの、ちゃんとお断りのメールをなさるところに人柄の良さを感じます。早速快諾のメールを返信。それから、なんとHTMLの無駄を省くと20%の高速化が図れるというご指摘。薄々感づいていただけに、事実数字が出てしまうと絶句してしまう。そうなんです。小説で文字のサイズ4を指定すると、ウチのバカなHPエディタ(HOTALL Version4.0)は1行毎に全て<FONT SIZE=4>と</FONT>を追加してしまうのです。エディタモードに切り替えて削除しても、ブラウズモードにするとまた追加してしまう。悲しい。どうしたらいいのか・・・。ハードディスクの残容量140メガの状態では乗り換え作業も出来るかどうか疑わしい。さあ、どうなるどうなる!(他人事のように煽る)
 画面で読む人が少ないのであれば、標準フォントサイズで流しちゃった方がいいのかなあ。ご意見待ちます

 19:04、昼寝から目覚めるとメールが届いている。喜んでいそいそとコミュニュケーターを立ち上げると、「すごい情報が入ってきました!! ご紹介するのはカナダに本社を置く<削除>社の『WAVE7』というものです・・・」 なんじゃこれ、と読み進むと、「第1ラインに3人をつけ、第7レベルで1ポジションは完成します。これが完成すると月収292万8000円に・・・」 ぐええ、ネズミ講やないか! そう言えば、レンタル掲示板を探すためにホイホイとメールアドレスを書きまくっていたなあ。「ネットワークビジネスは『訪問販売等に関する法律』の第3章『連鎖販売取引』に該当する合法的ビジネスです・・・」んなわけねーだろー、第一そんなに儲かるならお前だけでやれ! 「アメリカでは大学の講義科目にもなっています・・・」はいはい。コレが噂のネットネズミ講ですね。昨日10ch『驚きもものき20世紀』でやったばっかり。ともかく無視するのが上策とDELキーで葬り去る。

 23:29、新作『NONE』の第2稿を直している。内容はあれほど嫌がっていた警察モノだが、書こうと思えば書ける。ただ、ミステリ専業でやっている先輩たちに申し訳ない。出来れば私の色を出してちゃんとSFにしたかったのだが、自分を試してみたくなった。警察の資料も一時期やたらと集めていたのでマニアックな仕上がりである。あとは挿し絵を描いて終わり。『護衛』第2章は盛り上がりに欠けるなあと反省。しかし、全体の構成からすると致し方なしと判断。出来れば3章も同時に掲載とも考えたのだけれども、品質が低下してしまってはまた申し訳ない。
 カウンタをチェック。996アクセスを記録。やはりみなさんのおかげです。一時は絶望して一家心中まで考えたけれど、ここまで回復しました。今ではメールでHP作成技術を教えて下さる方もいて幸せです。ほぼ補完されたと言っても良いでしょう。
 そういえば、口内炎が出来てここ数日絶食状態です。口内炎の時に食べると良いものをご存じの方、メール下さい。こういうときに限ってウチの親はトマトとか出すので困る。口内炎にトマトは拷問。きついッス。

 メールがまた届いていました。羽根伸一郎さんからです。レスポンスがいいです。良いことです。確かに今時VGAでインターネットやっている人は珍しいかも。液晶でなければXGA程度の解像度でも25万でパソコン+モニタのセットが充分揃いますものね。ちなみにウチはSVGAのTFT液晶です。
 HP作成ツールをエディタに切り替えることも考えてみます。Wzなどを考えています。従量制プロバイダの方にとっては無駄なタグのダウンロード分の料金は痛いでしょう。よくわかります。早急に改善を図ります。
 電子出版はきっと世の中を変えると思います。だからこそ出版社は必死になって電子出版に介入しているのです。でも、ちょっとした知識があれば簡単に自己表現できるのです。そういえば例の編集者が『私が読者の代表です』と言っていました。何たる不遜。許せません。
 私はこういう場で、そういう不遜な編集者の介入なく、本当の読者の方々に発言できるのが幸せです。ここでは全てが私の責任です。でも、責任をとることが出来るし、その代わりに思い切ったこともできます。こういう場こそ真の表現の場ではないかと思っています。
 まあ、でもネットの普及がいまいちなので、もうしばらくは紙媒体の優位は続くでしょう。
 でも、私は未来を信じています。



12/21
 02:44、ちょっと夜食を食べて、部屋に戻るとOpen-GL『3Dパイプ』のスクリーンセーバーが壊れている。CTRL+ALT+DELにも反応が無く、仕方がないので強制リセット。SCANDISKではディレクトリとファイルに異常が発生しているとのこと。もともと不安定なWindows95OSR2だったので諦める。ちなみにサブノートのPC-9821La13にはバックアップディスクは付いてきません。200枚ものフロッピーに8時間かけてバックアップするしかありません。私はそれをサボり、結局別売のレストアCD−ROMを買うことになってしまいました。しかも、サブノートなのでSCSIドライバとCD−ROMドライバをCONFIG.SYSで認識させないとにっちもさっちもどうにもブルドッグ((C)さくらももこ)なので手が出せない。サブノートを1台目に買うというのは危険ですね。実はCD−ROMもPDドライブなのでさらにCONFIG.SYSが複雑になってしまう。それに今のところ何とか動いているので再セットアップは全くやる気が起きない。やらなきゃと思っているけど、『暇人の忙しさ』というか、あれこれやっていると日が暮れてしまう。どうしたものか。

 朝起きると、伊丹十三監督が自殺したと母から知らされる。ショック。シナリオの書き方を伊丹監督の著書で学び、その他批評精神も育てていただいたのでショックが大きい。やはり『マルタイの女』が流行らなかっただろうか、いや、勝新と玉緒のように宮本信子に損失補填させれば良いだけの話ではないか、では、女性問題が・・・。とにかく悲しい。『マルサの女3』を見たかった。冥福を祈ります。

 FAX着信。日本文学学校の恩師から、文学学校の忘年会へのお誘いである。文学学校は嫉妬の嵐に悩まされて行かないようにしたのだが、こうして気遣ってくれる恩師にはただひたすら感謝。恩師の名前は山田正弘。お気づきの方もいらっしゃるかも知れませんが、七人の刑事、ウルトラQ、中学生日記の脚本を書いた人です。あのカネゴンのアイディアも山田先生のものなんです。今は東大120周年(だったっけ?)の記念映画の脚本を書いています。学歴は中卒なのですが、実力は第一線。著書も多数。映画を撮りたいとか、話を書きたいという人は日大芸術学部や早稲田第1文学部に行かずとも、真摯に自分の世界を書いていけば道は開けるんです(私は高卒)。最近は創作の現場にも学歴主義的なものがはびこってきて困りますが、最後に生き残るのは実力のある人間です。そう信じています。
 でも、忘年会参加の返事は保留。精神的・肉体的に回復しないと会席はダメでしょう。特に口内炎が出来ているし。ということで。

 メールが届いていました。羽根伸一郎さんです。常連さんになってくれました。ありがたやありがたや。『この手のメールがご迷惑な場合は、ご一報下さい』だなんて最後に書いてありました。何て奥床しいんだろう。ぜんぜんそんなことないですヨォ。どしどしメールして下さい。そう言えば羽根さんはアドレスがmsnになっていますね。使い心地はどんなもんでしょう? 一時期独占禁止法がどうのこうので話題になったきり話を聞きませんでしたが、今は料金体系とか変わったんでしょうか。
 内容はHP制作技術についてのお話でした。本当、ありがたいです。リファレンスブックを買うと『そもそもインターネットとは』と始まってイライラさせられるので、こうしてご教示していただけると有り難いです。
 挿し絵をGIFではなくJPEGにしては、というお話でした。確かに納得させられる部分もあります。しかし、JPEGはインターレースGIFの真似をするにはプログレッシブJPEGにせねばならず、プログレッシブJPEGは古いブラウザは未対応なのでは? また、圧縮をかけると解凍に時間がかかるというのもあって非圧縮GIFにしているんですが・・・でも、効率も上げたいし・・・そうですね。受け手もファイルサイズが小さい方がいいですよね。考えます。
 それと背景色の設定。標準設定だと人によって見え方が違っちゃうんですね。了解しました。順次背景色を設定します。でも、背景色も難しいですね。私は白背景に黒文字が好きですけど、コントラストが強すぎて目に良くないかもしれないし、標準のグレーバックの黒文字も嫌いじゃないし・・・。ご意見待ちます。

 自民党加藤幹事長の出演する番組を見る。『お笑い大蔵省極秘情報』にあったように、風俗関係とかヤクザ屋さんからは税金が取れないのはどうしてもおかしい。それに、最高税率65%では子供が夢を抱けない。稼ぎの半分以上を取られてしまうのでは脱税したくもなります。やはり消費税25%で所得税廃止+低所得者への補助金給付が良いと思う。
 それに特殊出生率の問題だけど、どんな頭のいい女の人でも出産すると再就職はパートか専業主婦しかないというのでは子供を産みたくなくなるのは当たり前。ちゃんとフォローする体勢を作るべき。でも、筒井康隆さんが『文学部唯野教授の女性問答』で言っているとおり、人口問題というのはナショナリズムでもあるので、移民をどんどん受け入れるのが一番手っ取り早いかも知れない。呂比須ワグナーやラモスのような強力な助っ人が増えれば日本の未来は明るいと思う。ただ、国籍はちゃんと日本に移して欲しい。帰化制度をゆるめる必要あり。国籍を日本に移すというのは大人として、日本社会を構成するものとして二心無いことを証明する象徴的行為だと思う。
 はっきり言うと、今の状態のまま在日外国人に選挙権や公務員試験受験資格を与えるのは良くないと思う。第一、公務員試験に至っては採用はすれども出世させずという話すらある。これではよけい残酷というもの。選挙権も国の政策に関わることであるので国籍を無視することは出来ない。国籍というのは国家と個人の契約なのだ。権利がある限り責任を負わねばならない。
 まあ、他にも言いたいことはいっぱいある。ただ、日本を何とかしようと思っている国はいくつもあるという事を忘れてはならない。韓国は竹島、中国は尖閣、ロシアは北方領土、そして北朝鮮は拉致問題と周りの国は残念ながら、みんな犯罪国家と考える他無いでしょう。特に韓国は事後法(!)で元大統領を罰したり、国定教科書で『日本人は戦争が大好きで』と教えたりするような国です。マトモではない。まあ、内政干渉になるからとやかくは言えないのかも知れないが、日本ほど言論の自由がある国はないと思う。ドイツはナチスと同じように未だに共産党を禁止しているし、アメリカはポリティカル・コレクトで揚げ足取りされるし。
 ちなみに、意外とみなさん知らないかも知れませんが、スイスは国民全員が兵士で、フランスは徴兵制を未だにとっているんです。独立や自由を守るということはそういうことです。今の日本人は正月のお賽銭だけで神風が吹くと思っているんでしょうか。そんなことだとまた特攻みたいな悲劇を招きます(断言)。

 新聞(産経)を見ると斎場の話が載っている。なんでも、斎場近くの住民が霊柩車を見るのがイヤだと言いだし、宮型の霊柩車が使えなくなっているという。ひどい住民エゴである。みんな必ず1回は使うのに。そーゆー住民の方には、お亡くなりの際は霊柩車を使わずに歩いて斎場まで行って貰いましょう。どうにもエゴと権利をはき違えている人間が多すぎる。

 メール着信。『にとろそ』さん(面白い名前ですね)。応援のメールです。ありがたやありがたや。裏日刊工業新聞から流れてきたそうです。やはり裏日刊の影響力は凄い。プリプラ(拙著)が見つからないそうですが、プリプラは完売してしまい、講談社にも取り次ぎにも在庫はありません。書店店頭分のみです。残念です。
 あ、お陰様で1000アクセスを達成しました。12/11の23時から集計しましたので、9日で達成しました。ありがたいことです。

 「ピッチャー・イチロー、代打高津」を読了。野球には全く詳しくないのだけれど、伊良部騒動の実状などを今更ながら知って驚く。こりゃ伊良部が怒るのも無理はない。広岡GMの話はひどすぎるし、それを煽ったマスコミも悪い。ついでに書いておくと、今日の産経スポーツ面のスキージャンプの記事で『原田2回目に進めず』との見出し。その下には小さく『葛西の4位が最高』。おいおい、扱いが逆だろー。葛西が4位に食い込んだことを賞賛すべきであって、不調の原田を責めるのはよくない。それに、原田中心に記事構成するのもいーかげんにせーよ、と思う。ジャイアンツ中心史観みたいで見ていて気持ち良いものではない。どうしてマスコミは勝手に人を持ち上げたり、地に落として踏みつけにするのが当たり前なのだろうか。これも必殺手のひら返しってヤツですね。

 そう言えばこのHPは小説中心のページなのに日記の反応が一番多いです。小説、気合い入れて書いているんだけどなあ。設定資料も見ていただけると嬉しいですけど、反応が・・・。マニアックなのは受けないという事なのか。残念。

 メール着信。
これからの電子出版という視覚障碍者を意識したホームページの堀之内修さん。当HPとリンクしたいと言うことです。ありがたい話です。視覚障碍の方にも小説という形式でイメージの世界を楽しんで欲しいし、その可能性が電子出版にはあると思っています。バリアフリーという概念はもっと広めなくてはなりません。私の基本的な考え方は、障碍者をアシストする技術を社会がインフラ整備として開発しなければならないという考えです。『障碍者だから出来ない』のではなく、『障碍者だから出来る』という点が活かされること、障碍者のみなさんの努力が社会的存在として報われる社会の実現が理想です。『保護してやっているんだ』式の福祉では不幸です。その点で、今の『バリアフリー』という言葉は勘違いされているような気がします。
 私たち健常者もちょっとしたことで障碍者になる可能性があるのです。生まれつきの障碍者なら堪えられるかも知れませんが、ある日突然交通事故などで障碍者になった方の苦しみをよく聞きます。その点でも障碍者と健常者という区分けすら存在しないバリアフリーの実現に向けて、少しでも寄与できるなら幸いだと思います。

 近所の本屋で『心は孤独な数学者』藤原正彦・新潮社を注文。ちなみにプリンセス・プラスティックは近所の本屋『ブックス・コア』にはまだあります。神奈川県愛甲郡愛川町中津なので、近所の方はお立ち寄り下さい。また、書店で見つからなかったという方は『返本待ち』という事で予約しておけば手に入るかも知れません。私の力不足でこういう事態になってしまいました。全く申し訳ない。

 メール着信。かっぽんさん(http://www4.justnet.ne.jp/~kappon/)より、時間ミステリを書くべきとのメールです。若干の異論もあるものの、最近私も心境の変化があるので、納得できる所もあるメールでした。
 『同じ世界で同時に起こっている事柄を、それぞれの複数の視点で全て描こうとしている』、つまり書き込みすぎだからプリプラは「小説技術の未熟」であり、それを越えて行くためにミステリーを修業として書くべきである、という趣旨です。
 確かにそれはあるでしょう。ですが、大森さんのいう『下手な国際謀略小説風』というのは私は意図してそう書いたのです。トム・クランシー(井坂清訳)の影響が多分にあります。視点が統一されていないのはマイケル・クライトンのER・救急救命室のような緊迫感と人間の多様性を出したかったからで、それも意図的なものでした。それを『小説モドキ』と言われるのは残念です。既存の小説にないことをやりたかったので、半分はご理解頂けているものと思われますが、もう半分は残念です。
 『あなたは小説の方法論の中では文章を書いていなくて、あなたの中で「プリンセス・プラスチック」というアニメが映像として流れていて、それを見ながら文章にしたとしか思えないのです』ということですが、それは100%の正解です。始めプリプラは『良くできたアニメの企画書』と言う評価だったのです。そして、私はいつも映像を頭に描きながら小説を書いています。そして、他に書く方法を知りません。
 それから、栗本薫さんも(あの、栗本薫氏とお書きですが、栗本薫さんは女性ですよ。揚げ足取りですけど)グインサーガの出版がなかなか出来ずに何年も待ったという話も興味深いです。
 確かに本当に好きなものを書くには時間が必要かも知れません。
 ただ、小説というものは恐ろしいもので、本当に書きたいものがあるのに、それ以外のものを嫌々書いていると、その『嫌々さ』がばれてしまうのです。書き手の心の状態がはっきりと分かるのです。プリプラでもお感じの方がいらっしゃいますが、プリプラの最終稿の時、私は殆ど絶望して夏エヴァのシンジくん状態でした。それが分かる人には分かってしまうのです。プリプラのエンディングは一応ハッピーエンドですが、ハッピーではないという読みをなさる方もいるのです。
 正直言うと、果たしてそんな私が一時的な欠点克服のために書いたミステリが人の心に訴えかけられるだろうか、というと、自信がありません。
 特に私の場合は2度目は無いと言われ、今はまた3度目は無いと言われているのです。
 2度で終わりなら、自分の満足できるプリプラで終わりにしたい・・・それが私の偽らざる心情です。
 でも、正直をさらに本当に言うと、迷ってもいます。
 明日(12/22)このページに掲載する作品は、その時間SFミステリーの設定の原案をもとにしたものなのです。
 書いて書けないことはないのかもしれません。
 でも、どうにも・・・人を欺き、自分を欺くような気がして辛いのです。
 果たして自分が書きたいものはこれだったのだろうか、と思うと、どうにも嘘臭くて苦しいのです。

 大森望さんの書評が販売促進用と実際の書評を使い分けたものであるというのは半分理解できます。
 しかし、残り半分はどうしても疑問です。
 社会構造がそうであるとかっぽんさんは仰いますし、それも半分は理解できます。
 でも、そこで『自分が本当はどうなのか』を隠し通すことに疑問を感じるのです。
 いつまでも自分のいった事に『使い分け』によって保険をかけていけるとは思えないのです。
 一時的に売れればいいのならそれも良いでしょう。
 でも、本当に残る言葉の歴史性を考えたとき、そういう『保険』は見破られてしまうのではないでしょうか。
 いつか偽らざる本心を訴えたくなったとき、その訴えが『保険』と見られて届かなくなってしまう危険があると思うのです。
 いわゆる大人としてみるならば大森さんのスタンスは正しいでしょう。
 しかし、私はどうもおつき合いしがたいものを感じます。
 現実に自分の大事な、心の中で暖めていたものを、あんな風に上げたり下げたりされれば、笑って見過ごすわけには行かないことをご理解下さい。

 ともかく、考えさせられるメールでした。ただ今言えることは、もう少し時間を下さいということです。
 時間SFについて、全く書かないというつもりは実はここ数日でかなり失せています。
 第一、第2のシリーズとして時間SFミステリーを書こうと言い出したのは他ならぬ私なのですから。
 そして、そのアイディアを徹底的に踏みにじったのが担当さんなのです。
 その感情の綾というのは広岡GMと伊良部の確執のようなものです。
 まあ、私は伊良部というほど実力はありませんが、出来れば、こうこじれてしまった話を解くのに時間を要するということをご理解いただきたく思います。
 とにかく、貴重なご意見ありがとうございました。

 今しばらくは考える時間を下さい。



12/22

 夜を見ているうちに心機一転。

 結局あれほど嫌がっていた警察もの、時間ミステリを書くことにしました。

 ここまでの論旨からいって、節操がないとかご意見はおありでしょう。でも、みなさんにもっと良いものを読んで貰いたいという一心からです。完全に満足が行くものが書けるとはいつもながら思えないけれど、プリプラをファンジンレベルと言われたのにはちょっとカチンときました。意図的に狙って書いたものを自分の好みに合わないからといってファンジンレベルとこきおろされるのにはちょっと・・・。私に対してではなく、ファンジンを書いている方に失礼です。
 それに、好みの問題と技術の問題を混同されるのはもうたくさんです。技術的に可能な範囲の中から好みが分かれるのを覚悟して、あえて書いたのに未熟と言われるのは看過できません。確かに未熟は認めますが、だからといって小説以前、小説モドキとまで言われては黙ってはいられません。小説観は人によって千差万別だし、ロラン・バルトの『S/Z』のようなものも小説なのです。(この話をするとまた長くなるけど)
 それに、書き過ぎとか言われるのにも正直言うと・・・言っちゃダメですか? でも、言います。私の場合、ワンチャンスだとさんざん言われていたので、遺作のつもりで書いたんです。参考文献も載せようと思ったんですが、却下されてしまいました。科学技術的整合性が云々と言われますが、全部物理書で裏をとってあります。
 死を目前にした人間に与えられたワンチャンスの遺作に『省略の美』などあり得ますか? もう二度と書けなくなるという精神状態でそんなことはできません。出来るなら、それは嘘です。
 こんな事言いたくはなかったんだけれども、それなりに全力を尽くしたんです。11/5(プリプラ発売日)には心理的には夏エヴァのシンジくん以下で、このプリプラを残してこの世にサヨナラしちゃおうと思うぐらい入れ込んでいたんです。プリプラは中学の時からずっと暖めていたネタですけど、好みが分かれることはその中学生の頃から覚悟していたし、その結果も挿し絵・カバーの出来からある程度想像していたので(結局は幸か不幸か裏切られましたが)、本気で『余命あとn日』と思って10月を過ごしたのです。身辺整理もきっちり終えて11/5を迎えたのです。
 小説を書くということはそういうことです。
 小説というものは決して思いつきや一時の戯れで書けるものではないし、書いてもいけないと思うのです。
 それが作家の責任だと思うのです。

 ですが、売られた喧嘩は買わねばなりません。
 結局、下世話な技術論的な話になってしまい、はなはだ不本意ではあります。ですが、創作というものは心、魂の問題だと信じてこう書いているのに「どうせ書けないからうだうだ言っているんだろう」と思われるのはあまりにも癪です。

 ただ、不本意ではあるものの、書く以上は腹をくくったものを書きます。生半可なものにはしません。

 あの担当さんとまた話をするのかと思うと気が重いです。言うことが始めと終わりでは正反対になってしまう人なので、はっきりいうと話をするのが辛い。でも、このまま引き下がるわけにはいきません。結局『オトナの論理』というか、『本当の大人』ではなく『括弧付きのオトナ』の論理にからめ取られてしまうことになるのですが、読んで下さる方がいる限り『書こう』と思います。
 もう私の心がいかに傷つこうとも構いません。覚悟を決めました。サンドバッグにでも捨て石にでもなろうと思います。
 このHPを応援して下さった方々には申し訳ない裏切りかも知れません。今、私は苦しんでいます。
 でも、ここまでのやりとりは決して無駄ではなかったと思っています。あまりにも編集サイド主導だったので、それを少し正常に戻すことが出来たのではないかと思っています。書くのは私なのだし、書いたものに責任を持つのも私であるべきなのです。

 それから、大森望さんの批評について私が言いたいのは、決して『本の雑誌』や『アニメージュ』で私のプリプラのことを『異常なSF』と書かれたからムカツクとかいう次元の話ではなく(むしろ私はそう書かれたことを喜んでいます。感謝しています。なにしろ『今年一番』とまで付けて貰ったし、クドルチュデスも気に入って貰えたようですし(笑))、批評精神・評論精神についてこの人はどういう視座を持っているか、という点でちょっと考えることがあるということです。批評もいろいろ専門の派閥があるわけで、いつまでもエヴァ中心でやっていては本当の批評家としては苦しいのではないか、ということ。SF批評は本家の文学批評に比べればまだまだ理論体系も整理されていないと思うし、その整理をやらない限りSF作家とSF評論家はSFという『死につつある惑星』の中で共に死を迎えるしかなくなるということです。
 閉鎖された系は自己言及の堂々巡りに陥って崩壊することは数学のゲーデル不完全性定理で明らかなので、SFの外から新たな要素を持ち込まないといけないことは明確です。それを未だに『ハードSFこそSFの真髄』のような事を言っているので、果たしてこの人はSFを再生させたいのか、それともSFに見切りを付けて新本格に移行するつもりなのかという疑問を抱いたのです。
 SFでもギミック・ガジェットにサイエンスを持ち込むのは良いけど、ストーリー全体までサイエンスに縛られようとするハードSFはもう限界でしょう。
 まあ、これも論争のネタになるかも知れませんが、ネタを振っておきます。『アルジャーノンに花束を』はSFという事になっていますが、ストーリーは確かに知能向上実験の悲劇ということになっているものの、テーマは科学への批判ではなく、人間そのものと知性の関係という哲学的・文学的テーマだったと思うのです。その面ではむしろ保守的な色彩すらあると私は読みました。つまり、一般に受けるSFはSFの外から持ち込んだ要素がないといけないと思うのです。
 そして、読者を分析すると、ハードSFの需要ははっきりいうと非常に少ないでしょうし、これからますます減るでしょう。かつてハードSFを読んでいた人々は現実の科学の現場でSF的体験をしているわけですし、文系でSFが好きだった人に今のサイエンス、自己組織化理論やオートポイエーシスを完璧に(数理的に)理解しろというのは、シロウトに債券のデリバリティブ取引の現場に立って実績を上げてみろというぐらい無理です。ハードSFはもう書きようがないと思うのです。
 そして大森さんがまだSFに愛を持っているなら、いつまでもSFをSFの言葉で語るのではその愛にも限界があると思うのです。
 本当に僭越ですが、私はそういう問題意識をもっています。京大でアメリカ文学を学んだ大森さんには釈迦に説法というものですが、あえて書きました。ああ、こういうことを書くから生意気という事になるんだろうな。でも、SFを復活させるには大森さんのお力が必要だと信じているわけです。
 批評家批評家と気安くいわれる昨今ですが、ホンモノの批評家というのはまた大変です。批評精神ならだれでもその萌芽を持っているので、競争は非常に激しいです。だからこそ今批評家として成立している大森さんを尊敬し、大森さんには『雑文書き』といつまでも韜晦せずに、批評家として『世界の果て』を見てきて欲しいのです。(ううっ、ここでウテナネタ!)
 私も大森さんには多大な支援を頂いてきました。感謝しています。しかし、批評理論という面では大森さんにはもっと進んで欲しいと思うのです。まあ、そういう批評理論を公開する場がないことが一番悲しいのですが、通徹する批評理論は文学を育てると思います。
 私は儲かる儲からないとか、これを書いたらいくらとか、販売促進と書評を使い分けるとかいう『切り売りの感覚』で大森さんを見たくはありません。育ててくれた先輩として尊敬するが故に、その現実面と理想面、通徹する批評理論の確立に期待しているのです。
 僭越であることは承知の上です。
 それに蛇足ですが、作者としては、褒めるんだったら褒める、けなすんだったらけなすで一貫してくれたほうが参考になります。
 批評に情けは無用という事です。
 また、それぞれに言説を使い分けていくと、本当に褒めたい作品やけなしたい作品に出会ったときの発言力が鈍ってしまいます。
 やっぱり心の奥には最終安全装置というか、セントラルドグマというか、アダムというかご本尊を守っておかないと困ると思うのです。
 戦術、予防線・・・理解できますが、納得はまだ出来ません。

 起床して昼食(とはいってもダイエット用の栄養剤。口内炎のために食事が出来ない)をとり、講談社に電話。
 担当さんは全くこたえた様子はなく、明るい声である。私のここ数日の鬱屈は一体・・・。でも、プリプラの出版前交渉の時も端で聞いていると喧嘩みたいだったという母の言葉を思い出す。編集者と作家との間は時に常識を越えるほど激しいものになるという事だろう。そういえば担当さんの受け持っている作家の中で私が一番若い作家(24歳)だそうである。すっかりいぢめられ役定着である。
 担当さんは私が鬱屈しているうちにいろいろ考えていたようである。しかし、それは私ではなくあくまでも小説のことである。まあ、それもプロ精神だろう。作家はどうなっても良い・・・出来上がった小説が良ければ。だが、それは私も同じである。そういうところでは担当さんと同志である。でも、12/3の会合はシャレにならなかった。どう考えてみてもあれは私を干そうとしていたとしか考えられない。でも、未だに担当さんからのフォローは無し。こういうものなのかもしれない。私さえ我慢すればいい。若干の空虚を感じるが、それもまた一つの美であろう。

 私の考えたその時間ミステリーの決定的なオチを話す。大ウケ。即座に1月に本原案提示というスケジュールが決まる。

 というわけで、2作目が出るかもしれません。ご心配をおかけして申し訳ありません。申し訳ない分は2作目の出来で還元するつもりです。それから、このHPもちゃんと更新します。これからは2作目の制作について綴った日記となります。乞うご期待。

 でも、担当さんのこの手のひら返し^3は何なのだろう。12/3では「メフィスト賞にはあなたよりもずっと面白い小説が集まってますよ」・・・ならそっちを出版すればいいのに、と思ったら、今日は「あなたみたいな作風の作家は他にいません。発想も面白いです。他にはないアイディアです」と無茶苦茶褒めたりする。どっちなんだ一体。どっちでもないんでしょう。
 とにかく私はマシンとなって何を言われようとも書く。そういう覚悟を決める。一度死んだ身だ。今更惜しくはない。

 伊丹監督自殺の話題のワイドショーを見る。マスコミ関係の人間は言葉を扱うのにも関わらず言葉遣いがぞんざいだったりする。光文社との間でかなり激しいトラブルがあったのだろう。私はワイパックスとハルシオンがあるので、どんなことがあっても一晩眠れば何とか、と思えるが、伊丹監督にはそれがなかった。普段はネゴシエーターとしてプロダクションの社長が応対していたとのことだが、自殺の日は伊丹監督が直接応対していたとのこと。週刊誌の内容を見ると伊丹監督の胸中察するに余りあるやりとりが想像できてしまう。
 監督は自殺の直前にブランデーを大量に飲んだそうだが、アルコールは精神を不安定にさせる。逆効果だ。酒は癒しにならない。私もアルコールに逃げたことがあったが、よけい辛くなるだけだった。友人に聞くと、アルコールはドラッグの中ではダウン系に属するらしい。とにかく落ち込んだときの酒は最悪。

 なんだかドラえモンを見ていたら切なくなってしまった。こういうのに弱いんです。オトナになってしまった自分に吐き気を感じる自分。あれだけ罵られ蔑まれ、筋の通らないことを言われ人間性・人生を否定されてもまだ書こうとする・・・私は娼婦ですね。でも、同じ娼婦なら娼婦なりの道を極めようと思います。それに、私はクドルチュデスみたいなイカレた娼婦というイメージ好きだし(笑)。マグダラのマリアも好きです。

 大森望さんについてここまで書いたのを改めて見返すと、不遜な感じがして全く申し訳ない。でも、言わずにはおられないのも事実。でも、結局は『子供なのよ。シンジくんを叱る資格無いわ。自分に自分で絶望するわ!』といった具合である。ごめんなさい大森さん。子供の戯れ言と思って下さい。大森さんみたいな方に出会え、批評して貰えたことでまだ興奮しているのかも知れません。ちなみに大森さんと直接お話ししたことは未だに無いです。そのせいか、憧れ入ってます。



12/23
 結局新作の警察もの(『NONE』開発コードTALK-N1)のアップは間に合いませんでした。申し訳ない。時間との戦いを演じていますので、今しばらくのお待ちを。

 夜中(01:07)にネットをうろうろしていると大森望さんがこのページをご自分のページ『狂乱西葛西日記97年12月11日〜12月16日』でお書きになっていました。はうあッ!しかもお怒りのご様子。私めの文章については申し訳ないッス。若気の至りとしてご勘弁を。あのときは年長者の『手のひら返し』に過敏になっていたので、大森さんのこともそう見てしまったのです。それに『変わり身』というのも12/3担当さん事件ですっかり人間不信に陥ってたからで・・・とはいえ、もう遅いですね。
 でも、ちゃんとご覧になってたんですか。ネットとはいえ迂闊なことは言えませんね。だけど、全然対話の無い状態だったので、大森さんの実際の姿が分からなかったのも事実。(未だにアニメージュの写真で見ただけ。会ったことも直接話をしたこともないです) このページではそのあと22日分では感謝してますけど、事実、今でも本当に感謝してます。批評家が批評に取り上げる意味については私も分かっているつもりです。批評に値しないものは載せないというのも分かります。ただ、なにぶんにも初めてなもので・・・お気を悪くなさったら申し訳ない。ただただ平謝りです。
 とにかく、今の私の立場として『変わり身』は訂正しておきます。精神的動揺で近視眼的になっていたのは事実です。でも、その部分を削除するとギャラリーの方々に話が見えなくなるので残しておきます。
 ですが、大森さんのSF評論の戦術については未だ、本当にちょっと疑問を持っています。確かに戦術も大事だけれど、私は戦術では戦略的不利を回復できないという立場なので、大森さんには繰り返すけど『SF世界の世界の果てを見て欲しい』と思っているわけです。戦略的不利に陥っているSFを回復するにはどうしたらいいのか、それを考えているわけです。もう戦術では回復できないでしょう。それに、予防線の張り過ぎもまた危険だと思います。
 でも、プリプラが万人向けでないことも分かります。覚悟していたとはいえ、SFは難しいですね。
 まあ、ただ謝るだけじゃ交流がないと思うので、これを機会に大森さん、またコンゴトモヨロシクお願いします。
 というわけで、大森さんにフォローのメールを送りました。

 ああ、裏事情のページなのにだんだん表の世界から使徒が侵入してくる(笑)。講談社には自社の事を書いたメディアを全てチェックする部署があるといううわさも聞くし・・・。何だか夏エヴァで戦略自衛隊の侵攻を受けるNERV本部の阿鼻叫喚みたいになるこのページの将来像が容易に想像できてしまう。怖いです。

 そういえば、担当さんから電話が来たのと、大森さんがこのHPを見たタイミングはぴったり符合します。大森さんが担当さんにこのHPのことを言ったのか。そう考えると謎は解ける。まあ、私は捨て身、一度殺された身なので、もう怖いものはないです。猛烈なメール爆弾による絨毯爆撃とかプロバイダ側によるHP閉鎖とかない限り、私には表現する場があるわけですから。いくら言葉で叩かれても、表現できさえすればいいんです。
 でも、大森さんには失礼なこと言ってしまった。一度口にしてしまった言葉は消しゴムでは消せないんですね。痛感しました。
 TALK-N1開発作業を続ける。推理パートに悩む。担当さんもアイディアを出してくれたのだが、そのまま使っては芸がない。かなり捻ったものにしなければならないけれど、森雅裕さんの『推理小説常習犯』にあったように、アリバイ証言というのは頭の良い人の間でないと信憑性ゼロなので、そう言うネタも使ってみたい。
 担当さんもいい人なんだけど、手のひら返しがあるから怖い。なんでだかさっぱりわからない。こうしてネタの話をしてくれたりというときもあるのに。
 ああ、担当さんにこのページ見られたらどうしようと今になって思う。まあ、でも、一度は地獄を味わったわけですから別にいいかも。今は大森望さんの暖かいお言葉によって今では全て笑って許せるのだが、あのときはマヂで『終わった』と思ったから嘘ではない。削除しても話が見えなくなって悪い方向に取られるのもまた地獄。結局このまま残すのが一番という一番怠惰な結論に落ち着く。



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