ワシントン(CNN) 国連は2日、「標的を定めた殺害」を最も多く行っている国は米国であるとする報告書を発表した。パキスタンとアフガニスタンで無人機による攻撃を多用していることが主因だという。
報告書では、無人機による攻撃を「説明責任を果たさず、強硬に主張された不明確な殺害許可」によるものと呼び、戦争行為を取り締まる国際規則の弱体化を助長すると警告した。また、標的を定めた殺害を試みる際の根拠と、個人を拘束するのではなく殺害する際の論拠を示す国際規則を、公式に定めるよう各国に要請した。
報告書を作成したニューヨーク大学の法学教授で国連人権理事会のフィリップ・アルストン氏は、説明責任を果たさないこうした殺害行為は、生存権の保護や裁判なしの死刑の防止を定める規則に違反しており、米国にも他の国家にも認められる権利ではないと主張する。
同氏によると、約40カ国が無人機技術を実用できる段階にあり、その多くが無人機からのミサイル攻撃能力をすでに備えているか備えようとしている。
米国はブッシュ前大統領政権の8年間で無人機空爆を45回実施した。オバマ大統領就任以来、その数は急増し、パキスタンだけで昨年53回、今年に入り39回行われている(ワシントンの外交政策シンクタンク調査)。
パキスタンとアフガニスタンで無人機空爆を行える国は米国以外にないと言われているが、米国当局は通常、空爆についてコメントを発表しない。
報告書では、国防総省と中央情報局(CIA)の無人機空爆を区別し、国防総省では「説明責任プロセスが比較的明確」としたが、CIAについては「数百人」の殺害を「公務上の機密で隠している」と指摘し、対象者を特定した殺害行動が正当化される範囲が広い点と実施時の説明責任が欠如している点を問題にしている。アルストン氏は、自衛権を拡大解釈して国連憲章の定めに反している米国政府当局にも責任があると批判する。
これに対しCIAのリトル報道官は、「(CIA)の作戦は法の枠組み内で政府の厳しい監視の下に行われている」と述べ、説明責任を果たしていると反論した。
また、匿名の政府関係者はCNNに対し、国連憲章では国連加盟国が攻撃を受けた場合の自衛権が認められているなどと主張した。