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実態2時間、高額報酬 山口大医学部教授 '10/6/4

 山口大大学院医学系研究科(宇部市)の杉野法広教授(49)=産婦人科学=が、下関市立豊浦病院から「非常勤医師」名目で毎週、高額の報酬を得ていることが3日、病院などへの取材で分かった。教授が大学に提出している兼業承認申請書は「週1回、7・75時間勤務。7万5千円」となっている。しかし、午前中の2時間程度の勤務でこの額を受け取っている。2004年度からで総額は2千万円を超えるとみられる。

 ▽「非常勤医師で週1回、7・75時間勤務」 総額2000万円以上か

 豊浦病院によると、杉野教授への非常勤の依頼は年度ごと。10年度については、豊浦病院長から山口大医学部付属病院長への今年2月10日付文書で依頼した。条件は「毎週火曜日の午前8時半〜午後5時15分。報酬は1回7万5千円」となっている。

 杉野教授は同24日付で同じ条件の兼業承認申請書を大学に出し承認を得ている。

 ところが、昨年3月から今年5月までの勤務日計55日(火曜、一部は木曜)について、杉野教授が豊浦病院にいたのはいずれの日も「午前9時〜同11時」の2時間だけだったことが中国新聞の取材で確認できた。

 山口大医学部付属病院の産科婦人科は、毎週火曜の午後が入院患者の回診日。杉野教授は准教授ら十数人を連れて巡回している。

 杉野教授は03年に教授に昇格。豊浦病院の中村重美事務長は「杉野教授に2人の産婦人科の常勤医師をお願いしたが『無理だから1人は私が非常勤で行こう』と始まったようだ」と説明する。豊浦病院の非常勤医師台帳には04年から杉野教授の名前が載る。

 大学側に「7・75時間」勤務を依頼しながら、2時間程度しかない勤務実態について、中村事務長は「私はその時間でのお願いは知らなかった」。上領頼啓病院長は「自分の名前で依頼文書を出していることも知らない」と話した。

 杉野教授への報酬は、指定管理者の恩賜財団済生会支部山口県済生会(山口市)に下関市が支払う診療交付金から払われている。(山本祐司、藤田龍治)

 ▽9〜12時で兼業申請

 杉野教授の話 僕は9〜12時で大学に兼業申請しているはず。確かに昼には帰っているから。豊浦病院が9〜17時というのなら、向こうに聞いてほしい。

【写真説明】杉野教授が「非常勤医師」として週1回通う下関市立豊浦病院




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