【テレビはなぜ朝から晩まで鳩山政権を叩くのか】
民主党を弱体化し支配下に置きたい
【政治・経済】
2010年4月21日 掲載
その象徴が狂気の小沢事件報道だった
民主党が政策に掲げた「電波利用料のオークション制度」。電波を有限資源としてとらえる世界では当たり前の考えだが、これまで格安料金で電波を独占してきた日本のテレビ局はそこに触れてほしくない。現在40億円で済んでいる利用料が、数倍、数十倍に膨れ上がる可能性があるからだ。
それで、オークション制度はもちろん、そんなことを言い出す民主党政権そのものを封じ込み、弱体化させ、支配下に置いてしまおう。そうテレビ局経営者が考えたとしても不思議じゃない。いや、経営者なら当然の感覚だろう。
テレビの民主党叩きの本質はここにあるのだ。
しかも、今回の特徴は民主党批判するテレビ局を、資本関係にある新聞社が全面的に支援していることだ。それが表れたのが、民主党・小沢一郎幹事長に対する嵐のような攻撃だった。
昨年春から報道が始まった小沢氏の資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件。テレビでは女子アナや芸人キャスターまでが「小沢さんは辞めるべき」「説明責任を果たせ」と叫び、街頭で「小沢氏は国会議員を辞めるべきか」などと「○×アンケート」を行う番組もあった。影響力が絶大なテレビが、起訴も逮捕もされていない政治家を“容疑者扱い”した報道を連日続けたのだ。
タッグを組むように新聞社も検察の尻をたたき、捜査情報をロクに検証しないでタレ流し続けた。
「自民党時代は、新聞メディアが汚職政治家を厳しく批判しても、テレビは後追いで、報道もソフトだった。小沢幹事長の事件は、テレビも横並びという点で異様だった」(民主党議員)
こうした状況に原口一博総務相が、テレビ・新聞を牽制する対抗策に出た。特定資本が新聞社やテレビ局などの複数メディアを持つ「クロスオーナーシップ」を規制しようとした一件だ。
「日本では総務省令で、新聞、テレビ、ラジオの『3事業支配』は原則、禁止です。しかし、基準があいまいで例外的に認められているケースもある。このため、読売新聞と日本テレビ、朝日新聞とテレビ朝日、毎日新聞とTBS、産経新聞とフジテレビ、日経新聞とテレビ東京のような系列関係が築き上げられてきました」(ITジャーナリスト)
この5大メディア資本が、すべて同じ方向に動いた結果、狂気のような小沢バッシングになったのだ。元秘書の石川知裕衆院議員がいきなり微罪で逮捕された乱暴さなどは、まったく検証されなかった。原口総務相は会見で「同一資本が一色で支配することは、言論の多様性からみて問題」と指摘したが、テレビ、新聞は「クロスオーナーシップ」に言及した大臣発言をほとんど取り上げなかった。阪大名誉教授の鬼木甫氏(情報経済論)はこう言う。
「この件は新聞・テレビのクロスメディア所有の弊害がそのまま出た。つまり国民の『知る権利』が害されているのです。クロスメディアの規制を実施し、テレビの好まぬ話題は新聞が、新聞の批判はテレビが行うという環境づくりが必要です。外部批判を欠く状態は『停滞と腐敗』を生みやすいのです」
ところが、テレビは耳の痛い話だから全く報じない。そればかりか、原口総務相まで縛ろうと、民主党政権攻撃をさらにエスカレートさせた。それが現在の普天間基地移設をめぐる鳩山首相「無能無策」報道、「5月退陣論」報道なのである。
それで、オークション制度はもちろん、そんなことを言い出す民主党政権そのものを封じ込み、弱体化させ、支配下に置いてしまおう。そうテレビ局経営者が考えたとしても不思議じゃない。いや、経営者なら当然の感覚だろう。
テレビの民主党叩きの本質はここにあるのだ。
しかも、今回の特徴は民主党批判するテレビ局を、資本関係にある新聞社が全面的に支援していることだ。それが表れたのが、民主党・小沢一郎幹事長に対する嵐のような攻撃だった。
昨年春から報道が始まった小沢氏の資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件。テレビでは女子アナや芸人キャスターまでが「小沢さんは辞めるべき」「説明責任を果たせ」と叫び、街頭で「小沢氏は国会議員を辞めるべきか」などと「○×アンケート」を行う番組もあった。影響力が絶大なテレビが、起訴も逮捕もされていない政治家を“容疑者扱い”した報道を連日続けたのだ。
タッグを組むように新聞社も検察の尻をたたき、捜査情報をロクに検証しないでタレ流し続けた。
「自民党時代は、新聞メディアが汚職政治家を厳しく批判しても、テレビは後追いで、報道もソフトだった。小沢幹事長の事件は、テレビも横並びという点で異様だった」(民主党議員)
こうした状況に原口一博総務相が、テレビ・新聞を牽制する対抗策に出た。特定資本が新聞社やテレビ局などの複数メディアを持つ「クロスオーナーシップ」を規制しようとした一件だ。
「日本では総務省令で、新聞、テレビ、ラジオの『3事業支配』は原則、禁止です。しかし、基準があいまいで例外的に認められているケースもある。このため、読売新聞と日本テレビ、朝日新聞とテレビ朝日、毎日新聞とTBS、産経新聞とフジテレビ、日経新聞とテレビ東京のような系列関係が築き上げられてきました」(ITジャーナリスト)
この5大メディア資本が、すべて同じ方向に動いた結果、狂気のような小沢バッシングになったのだ。元秘書の石川知裕衆院議員がいきなり微罪で逮捕された乱暴さなどは、まったく検証されなかった。原口総務相は会見で「同一資本が一色で支配することは、言論の多様性からみて問題」と指摘したが、テレビ、新聞は「クロスオーナーシップ」に言及した大臣発言をほとんど取り上げなかった。阪大名誉教授の鬼木甫氏(情報経済論)はこう言う。
「この件は新聞・テレビのクロスメディア所有の弊害がそのまま出た。つまり国民の『知る権利』が害されているのです。クロスメディアの規制を実施し、テレビの好まぬ話題は新聞が、新聞の批判はテレビが行うという環境づくりが必要です。外部批判を欠く状態は『停滞と腐敗』を生みやすいのです」
ところが、テレビは耳の痛い話だから全く報じない。そればかりか、原口総務相まで縛ろうと、民主党政権攻撃をさらにエスカレートさせた。それが現在の普天間基地移設をめぐる鳩山首相「無能無策」報道、「5月退陣論」報道なのである。