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【テレビはなぜ朝から晩まで鳩山政権を叩くのか】

電波独占を民主党にジャマされたくない

【政治・経済】

2010年4月22日 掲載
「テレビがつまらなくなった」という声をよく耳にする。どこのチャンネルを押しても、お笑いタレントを並べたバラエティーにクイズ番組。政治ニュースは「普天間問題」「鳩山叩き」ばかりである。
 自分が今、どこのチャンネルを見ているのか分からなくなってくる。日ごろは、エラソーに「多様性」「客観性」を強調するテレビが、実は運命共同体の「テレビ一家」に成り下がっている証拠だ。
「テレビがこうした横並びの報道を続けられるのは“競争”がないからです。メーカーなら、海外の新製品や安売り商品とも競争しないといけない。ライバル社との違い、独自性が必要になります。しかし、限られた電波をそっくり独占しているテレビ界は新規参入業者がいない。現行は、電波さえ握っていれば莫大な広告料が入る仕組みだから、商品(番組・報道)は二の次になるのです」(ITジャーナリスト)
 民主党が掲げる「電波オークション」の導入のメリットは、国民資産の有効活用だけではない。電波の独占的利用にアグラをかいているテレビに競争を促し、商品(番組・報道)やサービスの向上を図る上でもベターなのだ。阪大名誉教授の鬼木甫氏(情報経済論)が言う。
「現行の電波割り当て方式は、閉鎖的な環境で行われる結果、新規参入が阻害される上、既存事業者も電波の確保・維持に注力するから、技術開発やサービス開発のスピードが落ちる。オークション制度が導入されれば、新規・既存業者ともにサービス改良に力を入れるし、電波節約のための技術開発も促進されます」

●総務官僚たちも天下りでグル
 いいことずくめの「電波オークション」なのに、過去に国会で取り上げられても議論さえ起きなかった。テレビ、新聞が無視を決め込み、総務省も導入を避けてきたからだ。
「総務省は、2000年に欧州で実施された電波オークションが高額落札になったひとつの例を挙げて『オークションは(多額投資が必要となり)IT普及を遅らせる』と主張。メディアがこの失敗ケースのみを取り上げたため、日本の電波事情は世界と比べてトラック2周ほど遅れてしまったのです。しかし、各国で200回近くオークションが実施されている中、1ケースの失敗を強調するのは合理的ではありません。総務省は、電波利用の決定権限から派生する行政、人事上の諸利益や、電波資源から生ずる巨額収益の一部を省予算に取り込む『省益』のためにオークションを避けたと考えられます」(鬼木氏)
 電波オークションが進まないウラには、総務省官僚の天下りも隠されている。民主党が昨年5月に発表した国家公務員の再就職調査では、総務省からNHK関連団体や民放キー局の系列局に天下っている連中がゴロゴロいた。天下り廃止も掲げる鳩山政権は、「電波利権」を抱え込みたい官僚とテレビの「共通の敵」になっているのだ。グルになった日本の「テレビ一家」が、鳩山政権つぶしで総攻撃をかけているのが現状だが、果たして民主党に反撃の準備はあるのだろうか。
~2010年4月22日以前の記事~