産婦人科
山本 真一
当院では分娩件数が急増しており、このままの状態が続けば、分娩の安全確保や、当院周辺開業施設からの緊急搬送をお受けすることができなくなります。そこで平成21年10月から、異常を伴わない妊娠の分娩予約を月70件に制限させていただく事となりました。この数を越えた段階で、原則的に当院での分娩予約をお断りさせて頂きます。なお、何らかの異常を持つ妊娠、合併症のある妊娠、過去の妊娠に重篤な異常のあった場合、緊急事態による救急搬送等は、今後も可能な限りお受けいたします。
当院での分娩を希望される方は、かかりつけ医療機関で妊娠が確認されましたら、なるべく早急に当院産婦人科を受診し、分娩予約を行って下さい。その後は当院での妊婦健診を受けて頂いても、かかりつけ医療機関で健診をお受けになっても、どちらでも構いません。後者の場合は、妊娠34週ころまでに紹介状をご持参の上、当院へ再度受診、以後の健診を当院でお受けください。いずれの場合も、当院の分娩状況を知っておいていただくため、当院の母親教室(妊娠前半向け、後半向けの計2回)をお受けになることを、強くお勧めいたします。
なお、妊娠内容、分娩時期、病床状況等によっては当院で対応できない場合もあり、更に高次の医療機関等へご紹介、母体搬送、新生児搬送等を行う場合がありますので、予めご了承ください。
産婦人科には、妊娠や出産にかかわる「産科」と、女性特有の疾患を扱う「婦人科」の二つの分野があります。
産科領域では、正常な妊娠分娩はもちろんのこと、妊娠経過に問題のある方、妊娠と同時に様々な疾患をお持ちの方についても、病院内の他科の医師とも協力し、最善の管理を目指します。生まれた赤ちゃんに何らかの問題がある場合は、専門の小児科医により新生児管理がなされます。また、妊娠と分娩には緊急事態への対応が絶えず必要です。当院には多数の麻酔専門医、設備が揃った手術室、集中治療室などがあり、ご安心いただけるものと思います。
婦人科領域では、子宮筋腫や卵巣腫瘍など代表的な婦人科疾患から、子宮癌や卵巣癌など悪性疾患についても積極的に治療を行っております。
産婦人科専用の多様な形の超音波診断装置を8台保有し、さまざまな目的、疾患、妊娠の状態に合わせて的確な診断をスムーズに行うことができます。平成18年度から、胎児の立体画像を見ることのできる「4Dエコー装置」を導入しましたので、希望される方はご相談ください。産婦人科手術分野では、腹腔鏡手術の設備があり、また癌治療分野では放射線治療(体外照射)や抗癌剤の使用も院内で行うことができます。
産科領域
お子さまが長い人生を歩む中で、心身ともに健康で幸せな生活を送るためには、妊娠と分娩前後の期間が極めて大切です。私たちは「安全であること」を第一に考えた上で、次のことに力を入れています。
1. 自然なお産を大切にします。
自然経過で安全が確保できない場合にのみ、誘発分娩、帝王切開などを行います。
2. 母乳育児を支援します。
母乳育児推進のため、お産後の入院は母子同室を原則としています。
3. 母体と赤ちゃんに異常が生じた時には、直ちに最新最善の医療技術を用いて対処します。
緊急事態には病院中の設備と人員を動員します。
なお、妊娠中のお母さんのためのさまざまな教室(母親教室、安産教室、おっぱい教室、等)を開催していますのでご利用ください。
婦人科領域
癌はもちろん、子宮筋腫や子宮内膜症等にも最新の機器を適切に用いて正確な診断を行っています(MRI、PET-CT等)。さまざまな治療方法がある疾患では方法の選択をお手伝いいたします。 最近、子宮筋腫の動脈塞栓治療を行えるようになりましたので、ご希望の方はお申し出ください。手術においては、安全性と確実性を第一に考えた方法をお勧めします。なお子宮頸癌の若年化が言われていますので、20代からの検診をおすすめします。
近年、更年期の不調への理解が進んでいます。女性は40歳を越えると卵巣から分泌される女性ホルモンが徐々に減少しはじめ、50才以降には急激に減少します。このため、身体の不調(更年期障害)、骨が弱くなる(骨粗しょう症)、膣が荒れて性交渉が嫌になる、などの変化が現れます。これらにも様々な治療法(ホルモン剤、漢方薬、自律神経治療剤、膣の薬、など)がありますのでご相談ください。
高齢者を中心として、子宮や膀胱が下垂する疾患(子宮脱、膀胱下垂、等)により受診される方が増えています。誰にも相談できず、長年一人で辛い思いを我慢されていた方も多く、簡単な膣内挿入器具による治療や、根治的手術も行えますので、是非ご相談ください。
なお、当産婦人科では漢方薬も積極的に活用しておりますので、ご希望のある方はご相談ください。
総分娩数:909件
帝王切開:260件
吸引または鉗子分娩:12件
(他の産婦人科施設から、妊娠中の様々な疾患や合併症のある多数の患者さんが当院に紹介されてきます。その結果、他施設より帝王切開率が高くなっています。)
総手術件数(帝王切開を含まず):366件
卵巣癌手術(中間群を含めず):21件
子宮癌手術(上皮内癌を含めず):35件
円錐切除手術:36件
子宮全摘出術(腹部切開による):82件
子宮筋腫核出術(子宮温存):29件
膣式手術(膣から実施。円錐切除は含めず):9件
腹腔鏡手術:34件
その他、卵巣良性腫瘍手術、子宮外妊娠手術等、多数。
癌化学療法
入院にて 48人にのべ214コース
外来にて 11人にのべ42コース
長い人生の中では様々な体の不調と出会います。妊娠中の異常、月経異常、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮癌、卵巣腫瘍、子宮脱、等々。不自然な出血や痛み、月経の変化などを感じたら、すぐに検診を受けてください。また、ひとつの疾患にもいろいろな治療法がありますので、治療方法のご希望を担当医にお伝えください。