「あしなが」寄付中止急増、高校無償化で誤解も
親を亡くした高校、大学生を支援する「あしなが育英会」(東京都千代田区)でこの春、継続的な寄付を打ち切る「あしながさん」が前年の約2倍の121人に急増した。
高校授業料無償化が始まり、「もう必要がないのでは」と受け止める人が増えているためとみられ、危機感を強める育英会は、各地で募金活動を強化している。
育英会によると、2009年度の寄付総額は、前年比4億300万円増の24億7100万円で、1998年度以降で最も増えた。奨学生数も、不況などで遺児家庭の家計が
ところが、高校無償化が4月にスタートすることが決まった頃から「異変」が始まったという。同年度の場合、継続的に善意を寄せる「あしながさん」は約2万9000人いるが、今年3月から4月20日までに、前年同期に比べほぼ倍の121人が寄付を打ち切った。振込用紙の通信欄に「高校の授業料無償化のため、寄付を3月で終了します」と書いた人がいたという。
打ち切りは今のところ1%にも満たないが、同会は「氷山の一角で、今後増えるのではないか」と戦々恐々。街頭の募金活動でも、「授業料無償化で、寄付はもう不要じゃないの」などの声を浴びせられるという。
公立高に通う遺児の約6割は既に授業料を減免されており、そもそも無償化の恩恵は薄い。授業料以外にも教材費や通学費などに年間約40万円は必要で、負担に耐えかねて中退や、進学を断念する例は後を絶たず、育英会の工藤長彦理事は「支援が必要な状況に変わりはない」と訴える。
浜松市のJR浜松駅前で今月初め、遺児ら約30人が協力を求めた。小学4年のときに父が病死した聖隷クリストファー大(浜松市北区)4年の木村昌道さん(21)は「大学で勉強できるのは募金のお陰。後輩たちのためにも支援を呼びかけたい」と話している。
- あしなが育英会とは (公式サイト)
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