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【経済】

最低賃金『20年に1000円』 雇用戦略対話合意

2010年6月4日 朝刊

 政府は三日、政労使の代表でつくる「雇用戦略対話」を開き、最低賃金(最賃)の引き上げについて、二〇二〇年までの目標として「できるだけ早い時期に全国最低八百円(時給)を確保し、景気状況に配慮しつつ全国平均千円を目指す」ことで合意した。月内にまとめる新成長戦略に盛り込む。

 昨夏の総選挙で民主党が掲げたマニフェストに沿った内容だが、今回の目標は二〇年までの平均で名目3%、実質2%を上回る経済成長率が前提条件となっている。今後の議論は最賃の改定幅の目安を示す厚生労働省の「中央最低賃金審議会」に委ねられるが、目標に拘束力はなく、実現への道筋は不透明だ。

 最賃は都道府県ごとに異なり、最高は東京都の七百九十一円。最も低いのは沖縄県などの六百二十九円で、八百円にするだけでも百七十一円の大幅アップが必要となる。特に、中小企業は支払い余力が乏しく影響が大きいことから、何らかの支援策を検討する。景気後退など経済状況の変化に備え、三年後に目標の検証も行う。

 最賃八百円が最初のステップとなるが、目標時期は「できるだけ早く」との表現にとどまり、政権を獲得して四年以内の実現が保証されたわけではない。ワーキングプア解消のため、早期引き上げを訴えてきた連合の古賀伸明会長は「具体化の取り組みが大事」と注文を付けた。

 非正規労働者らの職業能力を育成する「キャリア段位」制度や、職や住まいを失った人が自立するまでサポートを続ける「個別支援サービス」の導入も決めた。

 

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