サヨナラ本塁打を放ったT‐岡田(右端)は岡田監督から祝福を受ける。奥は北川(撮影・神子素慎一)
「オリックス10‐7中日」(2日、スカイ)
延長十一回。時計の針は午後10時49分を指していた。2008年以来、8連敗と苦しめられた中日を相手に7点差を逆転するミラクル劇。最後を締めたのは22歳のオリックスの4番T‐岡田だった。
後藤がこの試合2個目の敬遠で歩かされ1死一、二塁。フルカウントから金剛のストレートを右中間へ運んだ。プロ初のサヨナラ弾。歓喜の第一声は「やった!明日休める」と、とびっきりの笑顔を見せた。
八回に谷繁に3ランを浴び0‐7。ここまで4安打と封じ込められていた打線が突如、目覚める。四球を挟んだ4連打で3点を返すと無死満塁から北川が登場。1ボールからの2球目、ど真ん中のストレートをバックスクリーン右へ突き刺す同点満塁弾。近鉄時代の01年9月26日、オリックス戦(大阪ドーム)。リーグ優勝を決めた代打逆転サヨナラ満塁弾以来、自身2発目の劇弾だ。「正直、ドキドキやったよ。ベンチに戻ってから震え出した」と37歳のベテランは興奮した。
最下位からの逆襲を目指す今季。正田打撃コーチの指導の下、とにかくバットを振った。キャンプでは北川も夜間練習に参加。T‐岡田に至ってはバットスイングを休んだのは足首を故障した日とその翌日だけ。早出特打はルーティーンだ。
T‐岡田は「サヨナラは興奮しますね。パフォーマンスも忘れてました。あんな点差を追い付くなんて…」。ヒーローは自分たちの偉業に目を丸くした。
岡田監督も「この勝ちはものすごい大きいよ。何が起こるか分からん言うことよ。九回終わるまで。そういうゲームよ」と興奮を抑えきれなかった。満塁&サヨナラ弾。岡田オリックスはゲームセットまで目が離せない。
(2010年6月3日)