フリージャーナリストの魚住昭さん(58)の講演会「いま検察に何が起きているのか」(自由人権協会大阪・兵庫主催)が8日、神戸市中央区の市勤労会館であった。魚住さんは、小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」を巡る事件などを例に特捜検察の質低下を指摘し、「検察は自らのステータスを上げる目的で事件を摘発している。特捜部は解体し、司法を正常化すべきだ」と持論を述べた。
陸山会を巡る事件では東京地検特捜部が小沢幹事長を事情聴取したものの不起訴とした。また郵便不正事件の公判では被告が供述を覆し、大阪地検特捜部の描く構図が次々と崩壊している。
魚住さんは「立証の材料がないまま安易な捜査をしたのは明らか。前代未聞の事態」と前置きした上で、被告全員が無罪となり「検察ファッショ」と言われた戦前の「帝人事件」を引き合いに出し「『おれたちが世の中を変える』という独りよがりの正義感は戦前も戦後も変わらない」と述べた。
特に冷戦終結後は政治家の摘発を乱発し、ずさんな捜査が増えたと指摘し、「起訴・不起訴の判断や独自捜査権など世界的に例のない権限が与えられており、チェックを受けないまま今に至った」と検察組織を批判した。
〔神戸版〕
毎日新聞 2010年5月9日 地方版