川端達夫文部科学相は3日、教員養成や免許制度のあり方を総合的に見直すよう、中央教育審議会に諮問した。文科省の政務三役は、通常の教員免許に加え、学校現場で教員経験を積んだ後に大学院で学んで得られる上級免許を新設し、教員免許を「2ランク制」にすることを念頭に置いている。年内にも中教審の報告を得た上で、早ければ来年の通常国会に関係法の改正案を提出する考えだ。
民主党内には、通常の教員免許とは別に、8年程度教壇に立った後、各地の教職大学院で単位を取って学校経営などの専門性を身につけた教員に「専門免許状」を与えるという案がある。義務化はしないが、一定の専門性を備えていることの「証明」とし、校長や教頭へ登用する際の判断材料にも活用するという考え方で、中教審はこの案をベースに検討する方向だ。
ただし、現場の教員には「教師は子どもと向き合うのが本分で、免許の種類でランク付けするのは誤りだ」という批判もあり、議論になるとみられる。
教員養成をめぐり、民主党は昨年夏の総選挙のマニフェストで、学部4年と大学院修士課程2年を合わせた「6年制」を打ち出し、教員免許の取得に修士修了まで義務づけることを検討していた。教員の質を向上させるには、教育実習の期間を1年程度にまで延長し、よりていねいに教育すべきだという考え方だったが、その後「6年制では学費負担が重くなり、教員志望者が激減する」という指摘が強まっている。
文科省の政務三役は、▽教員養成にかける時間を増やすことは必要だが、大学院で学ぶ期間は2年にはこだわらない▽学費については公的に支援する――という考えを示しており、中教審はくわしい制度設計を検討する考えだ。(青池学)