菅氏に対抗！真紀子氏も…ポスト鳩山は

　鳩山由紀夫首相（６３）が２日、退陣を表明した。小沢一郎幹事長（６８）に辞任を求め、小沢氏も了承。４日の新代表選出へ向けた短期決戦の「ポスト鳩山」レースが、スタートした。菅直人副総理兼財務相（６３）が同日夕、鳩山氏に出馬の意向を伝え、先手を打った。反小沢の前原誠司国交相（４８）にも支持が集まる見通しだが、主導権を握るのは、やはり小沢氏だ。新体制では小沢色を抑えたい党内の動きに対し、小沢氏周辺からは、小沢氏に近い原口一博総務相（５０）や、“最強の小沢ガールズ”田中真紀子元外相（６６）の擁立論が次々と浮上。激しい情報戦に発展し、早くも分裂含みの大混戦となった。

　先手を打ったのは菅氏だった。２日午後５時ごろ、首相官邸で鳩山首相に会い、出馬の意向を伝えた。菅氏は会談後、「代表選に立候補したい決意をお伝えした」と表明。「昼の食事も（鳩山氏と）一緒にした」とも言及し、鳩山政権の「後継者」一番乗りを印象づけてみせた。鳩山氏も「ぜひ頑張ってください」と応じたという。

　代表選は４日の両院議員総会で行う短期決戦となった。主導した小沢氏は「政権与党だから政治空白を作るわけにいかない」と強調した。一方、反小沢の議員は「（小沢氏とも関係を維持した）『横綱候補』の菅氏が勝つための日程」と強調。小沢氏が新体制に影響力を残すための日程編成との見方が強い。

　菅氏は、過去に投票が行われた民主党代表選７回のうち、０９年５月以外６回に出馬し、９９年と０２年の２回当選している。同日夜の菅グループの会合で菅氏は「自分はこれまで何度も負けており、苦労をかけるが、よろしくお願いしたい」と決意表明した。ただ、菅グループは４０人の規模。当選には、約１５０人を擁する小沢グループの支援が不可欠だ。一方で、菅グループには、「小沢色」排除を求める声が根強く、小沢氏主導の形では菅氏が出馬すらできない可能性もある。各グループは同日夜、次々に対応を練る会合を持った。前原グループの枝野幸男行政刷新相は「政治とカネの問題のけじめ」を条件に、菅氏支持を表明した。

　だが、新体制の小沢色排除を求める動きに対し、小沢氏周辺からは次々と「親小沢」の新代表候補の名前が流された。

　驚きは、最強の小沢ガールズ、田中元外相だ。「かく乱戦術」との見方もあるが、田中氏は２人の辞任表明後、首相の器について、「小沢さんくらいのプロじゃないと。理想だけではなかなか難しい」とも発言。小沢氏は辞任の混乱の中、田中氏に電話したという。田中氏は「代表選に出てくださいよ」と、小沢氏に勧めたことを明かしたが、小沢氏とのパイプの太さは別格だ。

　さらに小沢氏と緊密な関係を築いている原口氏擁立論が浮上。原口氏は報道陣から「推薦されたら出馬するか」と問われ、「戦う時は戦います」と否定せず。同日夜には「今は戦う時ではない」（原口氏）としたが、今度は小沢氏側近の細野豪志副幹事長（３８）の名前も浮上した。これらは、小沢氏サイドのかく乱戦術とみられるが、４日午前１１時の両院議員総会まで、激しい情報戦が続きそうだ。

　［2010年6月3日7時35分　紙面から］