「菅首相」誕生有力、樽床氏支持広がらず

　鳩山由紀夫民主党代表（首相）の後継を選ぶ代表選は３日、有力者の支持を相次いで取り付けた菅直人副総理兼財務相（６３）が優位な情勢になり、「菅首相」誕生の可能性が強まった。樽床伸二衆院環境委員長（５０）が追い上げを図るが苦戦している。投票は４日午前からの党両院議員総会で行われる。小沢一郎幹事長は態度を明確にしていないが、菅氏は「脱小沢」の姿勢を打ち出した。

　樽床氏陣営は最大勢力の小沢氏系グループの支援を期待。しかし、同グループ内の中堅・若手は自主投票を決めるなど、支持は広がっていない。ただ、ぎりぎりまで投票判断を先送りする議員も多いとみられ、情勢には流動的な要素がある。

　新代表は４日中に行われる国会での首相指名選挙で第９４代首相に選ばれ、組閣作業を経て新たな内閣を発足させる。

　菅、樽床両氏は３日午後、それぞれ党本部で記者会見し、立候補を正式表明。菅氏は「今こそ閉塞（へいそく）を打ち破る改革に本格的な歩みを進めるときだ」と強調。小沢氏の「政治とカネ」問題を指摘した上で「しばらく静かにしていただく」と、党運営から小沢氏の影響力排除を目指す考えを明らかにした。

　樽床氏は「世代交代」を掲げるとともに「最初に取り組むのは衆院定数の８０削減だ」と訴えた。ただ、小沢氏の処遇については言及を避けた。

　菅氏グループは約４０人。これまでに枝野幸男行政刷新担当相や岡田克也外相、前原誠司国土交通相、仙谷由人国家戦略担当相が支持を表明した。横路孝弘衆院議長ら旧社会党系グループも支持方針で一致した。一方、樽床氏陣営は、三井弁雄国対委員長代理、松本剛明衆院議院運営委員長らが中心メンバーで、会見に先立ち開かれた支援議員の会合には約４０人が出席した。

　代表選に立候補するには、国会議員の２０人以上の推薦が必要となる。

　党関係者によると、小沢氏系の中堅・若手でつくる「一新会」の幹部が、海江田万里選挙対策委員長代理や田中真紀子元外相に出馬を打診したが断られた。（共同）

　［2010年6月4日1時15分］