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◆ISSって何するところ?
なるほドリ 山崎直子飛行士(39)と野口聡一飛行士(45)が、国際宇宙ステーション(ISS)で活躍しているね。ISSって何なの?
記者 宇宙に造られた巨大な実験施設です。大きさは108・5メートル×72・8メートル。サッカー場とほぼ同じです。重さは420トン。98年11月から建設が始まり、今年完成します。
Q 誰が造ったんだろう?
A 82年、米国が日欧とカナダに計画参加を呼びかけました。本格化したのは84年1月、レーガン米大統領が「10年以内に人が暮らせる宇宙基地を造る」と宣言してからです。88年、日米欧カナダが協定を締結し、国際計画が始まりました。
Q ロシアが入ってないね。
A 旧ソ連は70年代から独自の宇宙ステーションを運用していました。米大統領の宣言は宇宙開発をリードするソ連への対抗の意味もありました。
Q 今は皆で使うんだよね。
A ロシアは93年に参加し、現在の参加国は欧州11カ国を含む計15カ国です。野口さんのようなISS長期滞在員は、現在のところ6人滞在が基本です。
各国の飛行士がISSを使う権利は、国の貢献度に応じた割合が決まっています。飛行士の打ち上げから滞在、帰還まで全部自前でできるロシアは常に3人分の権利を持ち、残り3人の枠を日米欧カナダで分けます。
Q 日本の権利は?
A 日本は実験棟「きぼう」の利用権を各国に提供し、無人補給機「HTV」で物資を運ぶ責任を負いますが、76・6%の米国に次ぐ12・8%の権利を持っています。滞在に置き換えると、半年間(1人)の長期滞在が3年間で2回可能です。現時点で15年までに6人分、約900日の滞在権を確保しており、既に滞在した若田光一さん(46)、野口さんに次いで11年に古川聡さん(46)、12年に星出彰彦さん(41)が滞在する予定です。
Q スペースシャトルの退役後、ISSに行く方法は?
A 退役後はロシアのソユーズ宇宙船が人間を運ぶ唯一の手段です。日本の飛行士の「乗船料」は米国がロシアに払う約束で、1人46億円程度。しかしロシアは最近、値上げを検討中のようです。
Q 日本の実験は順調?
A 92年の毛利衛さんから現在の「きぼう」まで、延べ約500件の実験が行われ、きぼうから論文485本、特許29件(昨年6月現在)が出ました。薬や新素材の開発などの研究が進行中です。(科学環境部)
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毎日新聞 2010年4月16日 東京朝刊