【社会】泉南石綿訴訟、国が控訴 いったんは断念も検討2010年6月1日 夕刊 大阪府泉南地域でアスベスト(石綿)を吸い、肺がんなどを発症した元労働者らの集団訴訟で、政府は1日、国の責任を認めて約4億3500万円の損害賠償を命じた大阪地裁判決を不服として、大阪高裁に控訴した。 これを受け、元労働者ら原告側も2日の控訴期限までに控訴する方針。 5月19日の大阪地裁判決は、旧じん肺法が成立した1960年までに国が排気装置の設置を義務付けなかったことを違法と判断。同年以降に石綿肺や肺がんなどを患った元労働者らについて国の賠償責任を認め、原告の患者23人(遺族を含め26人)への賠償を命じた。 一方、周辺住民については、法の保護対象ではないことなどを理由に請求を棄却していた。 政府内では、長妻昭厚生労働相が「控訴を断念したい」と発言し、小沢鋭仁環境相も支持するなど控訴断念も検討されたが、閣内からは異論も噴出。仙谷由人国家戦略担当相が5月31日、法的な論点が多いことや労災認定などで一定の補償を受けている点を理由に控訴の方針を表明していた。 石綿被害をめぐっては名古屋、東京、横浜、神戸で国や企業を相手にした訴訟が係争中。
|