「普天間「県外移設」は断念　年内に新候補地案提示」の記事詳細：イザ！

　米軍普天間飛行場（沖縄県宜野湾（ぎのわん）市）の移設問題で、政府が「県外移設」を断念し、県内で新たな候補地案を策定、年内に米側に提示する方針を固めたことが２２日、わかった。複数の政府筋が明らかにした。沖縄県側に「県内やむなし」の空気があることや、決定を急ぐ米側に配慮した。ただ「新候補地案」で日米両政府と地元が合意できるか不透明だ。

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記事本文の続き　新候補地の年内提示方針は１０月上旬、平野博文官房長官（６０）、北沢俊美防衛相（７１）らで確認され、鳩山由紀夫首相（６２）に報告された。１１月のバラク・オバマ米大統領（４８）の来日時に「年内の新移設先案提示」の方針を伝える方向で最終調整している。

　日本側は２０、２１日のロバート・ゲーツ米国防長官（６６）との会談で、米軍嘉手納基地への統合案を打診したが拒否された。下地島空港、伊江島補助飛行場などを移設先として模索したこともあるが、地元の反対で断念した経緯がある。

　移設先については、平成１８（２００６）年の日米合意で、米軍キャンプ・シュワブ沿岸部（名護市）と決定した。だが民主党は、沖縄県の負担軽減を訴え、昨年７月の「沖縄ビジョン２００８」に「県外移転を模索し、戦略環境の変化を踏まえ国外移転を目指す」と明記。鳩山首相も先の衆院選で、県外移設を目指す考えを示してきた。

　だが、県外移設には米側が難色を示しており、米軍再編の日米合意のパッケージである在沖縄の米海兵隊８０００人のグアム移転や嘉手納基地以南の６施設の返還にも「影響が及ぶ」（政府筋）と判断。沖縄県からも「県内移設もやむなし」（仲井真（なかいま）弘多（ひろかず）知事）との声があるため「県内」で新候補地を提示する方針を固めた。

　ゲーツ氏は２０日の岡田克也外相（５６）との会談で、キャンプ・シュワブ案が「唯一、実現可能な案だ」と主張。日本が代替地の１つとして模索していた嘉手納基地への統合案に対しても、２１日の日米防衛相会談で「運用上難しい」と拒否した。

　政府が「新候補地案」を決定しても、米側、沖縄側の双方の合意がなければ、キャンプ・シュワブ案で再協議せざるを得なくなる。

　鳩山新政権の外交方針をめぐっては、米政権内に懸念が高まっており、２２日付の米紙ワシントン・ポストは「今やもっとも厄介なのは中国ではなく日本だ」とする米国務省高官の発言を引用した。

◇◇◇

　韓国を訪問したゲーツ米国防長官は２２日、金泰栄国防相とともに米韓定例安全保障協議（ＳＣＭ）に出席した。同協議の共同声明によると、両国は北朝鮮核問題について６カ国協議を通じて完全かつ検証可能な非核化を成し遂げるため、共に努力し続けることで合意した。

　共同声明によると、米韓は北朝鮮が核兵器保有国になることを認めないとの認識で一致。その上で、両国防相は国連安保理制裁を完全に実行するため緊密に協力することでも合意した。

　声明はまた、ゲーツ長官が「核の傘」やミサイル防衛などを含む「最大限の軍事力」による抑止力を韓国に提供すると再確認したとしている。

（ソウル　時事）