９２兆円　予算成立…過去最大

新規国債、最悪４４兆

２０１０年度予算が参院本会議で可決、成立し、一礼する（右から）鳩山首相、菅財務相、岡田外相ら（２４日午後、国会で）＝鷹見安浩撮影

　２０１０年度予算が２４日の参院本会議で、民主、社民、国民新の与党３党などの賛成多数で可決、成立した。鳩山政権が編成した初の当初予算となる。

　今後、子ども手当法案や高校授業料無償化法案も月内に成立させ、夏の参院選に向けて政権交代の成果を示す方針だが、「政治とカネ」の問題を受けた逆風は続き、沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題などの課題も山積しており、政権運営は予断を許さない状況だ。

　参院本会議では、たばこ税率を１本あたり３・５円引き上げる税制改正関連法など歳入関連５法も成立した。

　３月２４日の当初予算成立は、現憲法下で５番目に早い。予算の一般会計総額は、過去最大の９２兆２９９２億円だ。子ども手当や農家の戸別所得補償、高校授業料実質無償化などの新規事業に加え、社会保障費の自然増などで歳出が膨らんだ。

　歳出増に伴い、新規国債発行額は過去最悪の４４兆３０３０億円となった。政府は１１年度以降の予算編成に向け、中期財政フレームを策定するなど財政再建に向けた取り組みを進める。

　鳩山首相は２４日夜、予算成立を受けて首相官邸で記者団に、「これからがスタートだ。子ども手当や高校無償化など、ひとつひとつの予算が一人一人の実感となっていくと期待している」と述べた。

　これに先立つ政府・民主党首脳会議では、参院選に向けた準備を加速するため、政権公約会議（議長・鳩山首相）の初会合を週明けにも開くことを決めた。また、国家公務員の幹部人事を内閣官房で一元管理するための国家公務員法改正案、国家戦略室を局に格上げする政治主導確立法案など、「政治主導」による政権運営を強化するための法案の成立を急ぐよう指示した。

　首相は予算執行と公務員制度改革などの政策課題への取り組みを通じ、政権発足から半年余りで大幅に落ち込んだ内閣支持率の下落に歯止めをかけ、参院選に向けた態勢を整えたい考えだ。

　しかし、首相や民主党の小沢幹事長を巡る政治資金規正法違反事件に加え、同党の小林千代美衆院議員の北海道教職員組合（北教組）を巡る同法違反事件が発覚し、「政治とカネ」の問題を受けた民主党への批判はくすぶり続けている。今後の最大の課題となる普天間飛行場の移設問題でも、首相が約束した５月末までの決着が危ぶまれている。