総評・贈賞理由

蔵田裕行審査委員長より

新人賞
久末 航(ピアノ) 堀江牧生(チェロ)
音楽賞
小沢麻由子 (ピアノ) 山口博明(ピアノ)

バロックザール賞

名倉誠人(マリンバ)
クァルテット・アルモニコ
(菅谷早葉/ヴァイオリン、生田絵美/ヴァイオリン、阪本奈津子/ヴィオラ、富田牧子/チェロ)
尾池亜美・内田佳宏デュオ
(尾池亜美/ヴァイオリン、内田佳宏/チェロ)

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新人賞

《久末航ファーストピアノリサイタル》 2009年3月27日(金)開催

 

贈賞理由

多彩な音色、豊かな表現力、安定した技量でもってショパン、リスト、プロコフィエフ、ラフマニノフといった音楽的な個性の強い作曲家の作品群を見事に弾き分けていた。特に後半のプロコフィエフ、ラフマニノフの短い作品群では演奏者の年齢からは考えられないほどの並外れた想像力と表現力を実証して見せた。今後の可能性への限りない期待を持ってここに顕彰する。

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新人賞

《堀江牧生チェロリサイタル》 2009年12月18日(金)開催

 

贈賞理由

チェロの魅力である豊穣なる音の響き、おおらかな音の流れの上に高度な演奏技術を積み重ね、バッハ、ベートーヴェン、リゲティ、ショスタコヴィッチの作品を深い共感を持って歌い上げていた。特にリゲティ、ショスタコヴィッチへの共感度が強く感じられる演奏であった。高度な演奏技術の持ち主だが、それだけに捕らわれることなく音楽の内容そのもので感動を与えることの出来る正統派の逸材であり、今後の大きな成長を期待しここに顕彰する。

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音楽賞

《小沢麻由子ピアノリサイタル》 2009年9月21日(月・祝)開催

 

贈賞理由

ピアノ音楽の魅力を十二分に伝えた演奏会であった。繊細にして変化に富んだ音色から紡ぎ出される音楽は、詩情に溢れ魅力的である。繊細でありながら確実な構成力とスケールの大きさを持ち合わせ、独自の世界を展開して見せたが、特にショパンの前奏曲集で見せた絶え間ない樂曲の変化への対応が見事であり、その成果を讃えここに顕彰する。

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音楽賞

《山口博明ピアノリサイタル》 2009年11月23日(月・祝)開催

 

贈賞理由

冒頭から美しい音色と優しさ溢れる音楽で聴くものをぐんぐん引き込んで行く。自分の楽しみのために無作為に選んだという作品群は、そのまま聴衆の楽しみとなっていた。奏者のピアノに対する愛情が如実に窺えたモーツァルト、ベートーヴェン。奏者自らの編曲によるラフマニノフ。若者らしい共感を持って弾かれたカプースチン。素晴らしい構成力を見せたムソルグスキー。どれもが秀逸な出来栄えであった。無作為で選んだとは云うものの音楽会全体に対する配慮や構成力は十分に考え抜かれたものであり、演奏家としての一つの規範を示したものと言える。この優れた才能の今後の更なる幅広い活躍を願ってここに顕彰する。

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バロックザール賞

《名倉誠人マリンバ・リサイタル》 2009年11月3日(火・祝)開催

 

贈賞理由

当日演奏された6作品全部が委嘱作品であり、そのうちの5作品が世界初演という注目度の高い演奏会であった。信じられないほどの深く多彩な音色(ねいろ)が縦横無尽に駆け巡る。全曲が今生まれた曲にも拘らず、ずっと以前からあり続けたかのように自然に受け入れられるのは、演奏者の力量があればこそに他ならない。才気溢れるトークをまじえた構成も見事であり、各曲共非常に感銘深く、今年度の音楽会の中でも一際抜きん出た存在感を示していた。万人が高く評価した成果に対し、ここにバロックザール賞を以て顕彰する。

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バロックザール賞

《クァルテット・アルモニコ京都公演》 2009年11月29日(日)開催

 

贈賞理由

艶やかな音の塊である。各人の技量が平均したレヴェルにある上、緻密に合わせこんだことを実感させるアンサンブルは、弦楽クァルテットの魅力を最大限に発揮していた。作曲家自身から直接指導を受けたというミクロリュードは異色で興味深く、このアンサンブルグループの新たな可能性を示唆していた。今後とも息の長い活動を期待しここに顕彰する。

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バロックザール賞

《尾池亜美・内田佳宏デュオリサイタル》 2009年12月20日(日)開催

 

贈賞理由

ヴァイオリンとチェロによるデュオリサイタル。前半は両者の醸し出す美しい音色に素直に身をゆだねることの出来る曲目設定であった。それは音楽会の原点といえるが、当夜のメインはやはり両者の掛け合いが忌憚なく発揮されたラヴェルとコダーイであった。内田氏編曲によるピアソラも若々しく新鮮な感覚が感じられたが、今後は更に重厚な曲への挑戦を期待すると共に、結成後まだ日の浅いこのデュオの末永い活動を願ってここに顕彰する。

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贈賞

久末 航さん

小沢麻由子さん

名倉誠人さん

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