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きょうのコラム「時鐘」 2010年6月3日
神妙に、とうとうと、暗くなく。鳩山さんは謝り上手である。少なくともそう見えた辞任会見だった。真面目に、だが深刻がらずお詫(わ)びする
何事もそうすれば許してもらえると心底信じ、63歳のきょうまで来た人のように見える。謝りかたの中に「甘い育ち」を感じるのである。安倍、福田、麻生首相と三人続いた「暗い」辞任劇と比較してもその思いが際立つ 歌手1年、総理2年の使い捨て、の言葉ははるか遠く、世襲バブルの崩壊ここに極まると言ってもいい。が、この辞任劇に勝者はいるのか。鳩山降ろしを仕掛けた民主党参院の議員なのか。罷免された社民党首か。裏切られた沖縄県民か。それとも、辞めろ辞めろと叫んでいた自民党か。どれも勝者ではあるまい 敗者は鳩山さんともう一人いる。まだしばらく漂流が続く日本丸の乗客である。前政権の3首相は政治家が選んだ。だが、鳩山首相は国民が選んだ。敗者の有権者はだれに「ごめん」と謝ればいいのか。思えば空しい が、こんな政治は「もうごめん」となるかもしれない。有権者の反省は怒りに転化する。民主主義の勉強は高くつく。 |