鉄平がサヨナラ打　元ドラ戦士大活躍

　サヨナラを待ち望み、ヒートアップする本拠地のスタンド。同点の９回２死一、三塁。鉄平の地をはうような鋭い打球が歓喜を呼び込んだ。二遊間を切り裂き、ゆっくりと三塁走者の渡辺直が生還。ナインがベンチを飛び出すと、ヒーローは表情を崩した。

　「“一打、サヨナラ”−と考えずに“ここでヒットを打てばいい”というシンプルな気持ちだった。抜けてくれて良かった」。５月２１日、巨人戦のプロ初サヨナラ打に続き、２度目となる劇的フィナーレの演出。お立ち台の鉄平は満面に笑みを浮かべた。

　９回のピンチを守護神・川岸投入でしのぎ、勝利をたぐり寄せた。四球、野選など相手からもらった絶好機。力みもなく、渡辺の球を中前へはじき返した。

　鉄平の打率は２割台に低迷していた。昨年首位打者のタイトルを獲得した力を発揮できないでいたが、これで４試合連続の複数安打。この日の３安打で打率は３割を超えた。「全体的に３割なっただけ」と特段の興味を示さないが、上り調子であるのは間違いない。

　ブラウン監督は「鉄平が勝負強いバッティングをしている。今日は良かった」と満足げ。「自分たちの野球をやっていく」と続けた。チームは引き分けを挟んで４連勝。４位オリックスに並んだ。昨年２位のチームに勢いが出てきた。　（島田明）