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大阪・泉南、石綿訴訟 国が控訴へ
仙谷氏「全体的な解決検討」
大阪・泉南地域にあったアスベスト(石綿)紡織工場の元従業員らが国に損害賠償を求めた「泉南石綿訴訟」で、政府は31日夜、関係閣僚会議を開き、国の賠償責任を認めた大阪地裁判決を不服として控訴する方針を決めた。
同会議終了後、仙谷国家戦略相が明らかにした。控訴断念を求めてきた原告側も控訴する見通し。
仙谷国家戦略相は記者団に「被害者の方々には、大変お気の毒で早期解決が望まれるが、初めての訴訟で法律的な論点がまだまだある」と理由を説明。「原告になっていないが、被害救済を求める人もこれから多く出てくるだろう。出来るだけ早期に全体的な解決の枠組みを議論したい」と、被害全体の救済策を検討する考えを述べた。さらに「裁判所に中に入って頂くこともあり得るという前提で、救済の枠組みをどう考えたらいいか、もうしばらく時間がほしい」と控訴後の和解協議も視野に入れていることも明らかにした。
これまで控訴断念を主張していた長妻厚生労働相は「控訴後、いろいろな解決策を模索したい」と述べた。
原告は、1939~2005年に工場で働いていた当時の従業員とその遺族、工場の近隣住民で、石綿肺などの健康被害を訴えている。判決は、旧じん肺法が制定された1960年以降は「(国に)粉じん飛散を防ぐ排気装置を義務付けなかった違法がある」と判断。原告29人のうち、26人について計約4億3500万円の賠償を国に命じた。政府の控訴方針について、原告側は「原告被害者の期待と信頼を大きく裏切るもので、絶対に容認できない」とする抗議声明を出した。
(2010年6月1日 読売新聞)
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