●読売新聞配信記事 読売新聞は30日、
「民主・辻副幹事長、検察審事務局に接触図る」という見出しで次の記事を配信した。
民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件で、小沢氏を不起訴とした東京地検の判断の是非を審査している検察審査会の事務局に対し、民主党副幹事長の辻恵衆院議員(61)側が、審査手続きに関する説明をするよう求めたことが、複数の関係者の話で明らかになった。
政権与党の幹部が、政治的な中立が要求される検察審査会側に接触を図るのは極めて異例で、その目的や真意について議論を呼ぶのは必至だ。
辻氏側が接触したのは、東京第1〜6検察審査会の中で対外的な窓口になっている第1審査会。26日、辻氏本人と秘書が電話を入れ、同審査会と第5審査会の各事務局長から、審査補助員の選任方法や標準的な審査期間について聞きたいとして、衆院議員会館の事務所に来るよう求めた。
辻氏側はこの際、陸山会の土地取引を巡る事件や小沢氏のことには言及せず、一般的な手続きを知りたいとしていたという。
両審査会は辻氏の要請に応じなかったが、審査会関係者は「国会議員が事務局の職員を呼びつけるのは、一般的な説明だとしてもおかしい。審査会が外部から影響を受けたともとられかねない」と話している。
第5審査会は4月27日、陸山会の2004年分と05年分の政治資金収支報告書への虚偽記入容疑について、小沢氏を「起訴相当」と議決しており、東京地検の再度の不起訴を受け、第2段階の審査に入る。第1審査会も07年分の容疑について小沢氏の審査を行っている。
第5審査会の第2段階の審査では、第1段階の審査員全員が入れ替わる8月1日までに議決が出るかが注目されている。第1段階の審査で審査補助員を務めた弁護士が、第2段階で再び選ばれるかどうかも、関係者の関心を集めている。辻氏は自身のホームページで、この弁護士の公正さに疑問を投げかけ、第2段階の審査について「(第1段階と)同様の過ちを繰り返すことは絶対に許されるものではない」と主張している。
辻氏は弁護士で衆院2期目。検察審査会のあり方を見直すことなどを目的に、民主党議員らが結成した議員連盟の事務局長を務めている。2004年に摘発された日本歯科医師連盟を巡る事件では、橋本竜太郎元首相らの不起訴を不服として、検察審査会への申し立てを繰り返した。
辻氏は読売新聞の取材に、「事実は違う」と検察審査会への接触を否定。東京第1検察審査会の事務局は「外部からの照会については有無を含めて一切コメントしない」としている。
◆審査補助員=検察審査会の審査で、法律的助言をする弁護士。第1段階の審査では、必要に応じて委嘱できるとしており、強制起訴するかどうかを決める第2段階では、委嘱が義務付けられる。議決権はなく、検察審査会法は、自主的な判断を妨げる言動をしてはならないと定めている。強制起訴された兵庫県明石市の歩道橋事故やJR福知山線脱線事故では、第1、第2段階とも同じ弁護士が審査補助員を務めた。
●辻恵衆院議員とは 辻氏は73年東大法学部卒、77年司法試験合格 81年司法修習終了、同年弁護士登録。東京弁護士会所属。商事、労働、知的財産権を得意分野としている。民事弁護士としては東洋不動産の代理人を務めたことで知られる。
03年11月の衆院選で初当選。05年9月の衆院選で落選した。
05年、日歯連闇献金事件で橋本龍太郎元首相など自民党議員について検察が不起訴にした処分に対し、検察審査会に「1億円という大金を一会計責任者の権限でできるわけはない」として審査を申立、「不起訴不当」議決に対し「国民の常識に沿った極めて妥当な議決」などコメントしたこともある。
昨年8月の衆院選で返り咲き、現在2期目。衆院法務委員会理事などを務めている。
●本誌が読売報道の辻議員を斬る「辻民主党副幹事長が、東京第1〜6検察審査会の中で対外的な窓口になっている第1審査会と第5審査会の各事務局長から、審査補助員の選任方法や標準的な審査期間について聞きたいとして、衆院議員会館の事務所に来るよう求めたことは検察の処分をチェックする中立的立場の検審に対する不当介入、弁護士でありながら、検審に対する認識不足、思い上がりも甚だしい。小沢幹事長にとっても大きなマイナスとなろう。明らかな国政調査権の濫用である。野党はこぞって辻氏の証人喚問要求すべきである」