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児童養護施設的家庭風配慮をスリコミされる子ども達

ありがちな具体例

 改めて言う程の題名でもないと思いつつも、あえて、言わずもがなの事を言ってみる。

 わざわざ言語化するのがわたし流。


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 何故なら、心で漠然と分かったつもりでいる事と、自分で改めて「言わずもがな」の内容を再考する事では、その後、実際に色々なつまずきにあった際に、自分の力で考える力を育てておく事で、物事に対する対処の仕方などに明らかな違いが出てくると思うから。

 無知な部分は勉強していけばいい。でも概念・観念的なものはもっと本質的なものを見る力を養う事でいかようにも変化するので、どんな概念を持っててもいいから、まずは基本的な「定義」をおさらいしておきたいと個人的に思っている。

 養護施設で進められている家庭的処遇1は、すでに家庭というものを知っている児童へ向けられたものに思われ、最初から親から捨てられた児童にとっては、その後の人生をとても左右するスリコミに当たると思った。

たとえばスリコミについてのその一例

 
 ある卒園生の子と「職員をどう呼ぶか」について議論をした事があった。その子は家庭から途中で施設へ入ってきた子。わたしのいた施設では「家庭風の味わいを子ども達へ伝えたいとの施設側の配慮」から職員を「お兄さん」「お姉さん」と呼ばせていた。

 わたしはその「施設的家庭風配慮」を、家庭を知らない子にとってはスリコミに当たるからよした方が良いと言った。つまり「お兄さん=職員」と覚えてしまい、もし、結婚したりしてお義理兄さんが出来たら、どうしても職員のように感じてしまうと言った。

 するとその子は「何言ってるの、それは単なる呼び方で、別に本気でお兄さんお姉さんと思わせたいわけじゃないよ」「職員がお兄さんになるわけないよ」と笑われた。

 正直彼女の発言に心底びっくりした。同じ気持ちで盛り上がると思ったのに、彼女のすでに本物の家庭を知っている発言に裏打ちされた反応に、自分がモノ知らずで恥ずかしい気持ちになった。そうか、施設を出た子でも施設生活がスリコミにならない子がいるんだと知った。

 この時、わたしはこれら根本的な定義の修正に非常な時間と精神力が必要だという覚悟を持った。

 そして同時に「ああ、だからわたしはある日、職員へメールしたとき、ついつい慣れた呼び方である『○○お兄さん、こんにちは』から書き始めた時、元職員の彼から『僕はもう君のお兄さんでもなんでもありません、苗字で呼んで下さい』という返事が来たんだと、改めて納得した。

 この職員は家庭出身者なのであわてて「僕はもう君のお兄さんでもなんでもありません、苗字で呼んで下さい」と言ったのだろう。でも「わたしにとっては単に職員をあらわす為のお兄さん」でしかなかった。しかし、彼はわたしから無用な愛着を求められたと勘違いして、指摘をしてきたのだと思う。一言で言えば関わりたくない元園生から、彼にとっては親しみを込めた呼び方である「お兄さん」と呼ばれるのは困る事なのだと理解した。

 施設で職員をお兄さんと呼ばせておいて詐欺にあった気分だった。職員を見るとお兄さんとつい呼んでしまうパブロフ犬のわたしは、この一件はかなりイタイつまづきだった。

 反対に結婚した後に出来た義理姉の事を「おねえさん」と呼ぶ事に何か抵抗感があり、名前で呼んでいた事も打ち明けておこう。今はもう克服したが・・・。

 このように、養護施設全部育ちにとっては、色々なつまづきの元が社会にありすぎる。家庭の人にとっては言わずもがなの定義が、その段階で施設育ちと同じかどうか判断できないという問題もある。


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 定義、再考、構築、再構築はわたしの課題だ。スリコミの部分が多すぎてあまりに積み上げられた夏休みの宿題を必死になって分類している。施設全部育ちを育てたのは児童養護施設だという認識を施設側はもっと持つ必要があると思う。

 とくに要養護児童への家庭的配慮の究極的な配慮は、里親家庭へ委託する事であり、施設的養護の上に家庭風スパイスをトッピングすれば施設が家庭になるわけじゃないという事を、ねちっこく何度も書いていこうと思った。



  児童養護施設で家庭に近い処遇をすること。小規模化、グループホームなどもそののひとつ。施設ごとの試みも幾つかあるようだ。

  機能不全家庭の問題で措置されてきたが家庭をシステムとしては基本的に理解している子どもたち。


| └ ありがちな具体例 | 09時44分 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

家庭を体験した事がない子の持つ問題


 つぼみさん、連日の記事に驚かれている事と思います。わたしも自分で読み返してみて、少し凹みますがミモフタもない現実をとりあえず文章化するしかないと思っています。

それにしても、その「もうお兄さんではありません」と言った職員の懐の浅さにガックリします。

この職員は、家庭を体験した事のない元児童がお兄さんと呼ぶ場合、ただの呼称である事に気づいていませんでした。だから、拒否感が強く出てしまい、事務的で冷たい反応を返してきたと推測します。施設内限定の家庭風味を子ども達に配慮したつもりが、大人になってまでそれを守る児童に拒否感が募ったのだと思います。

 本当の家庭の関係性を知っていれば笑い飛ばせる話も、施設全部育ちはその場限りの、冗談ではすまされないものになる時があります。

 少なくともわたしは、教えられたとおりにしか生きてこられませんでした。だから、どんな小さな事も家庭を知らない児童に対してはプログラミングする事と同等なんだと思います。 

| レイ@施設の中のマイノリティ | 2007/06/08 21:24 | URL | ≫ EDIT

お兄さんと呼ばれた職員

なるほど・・・呼び方についても、後から「認識の違い」が出てきたりするのですね。

それにしても、その「もうお兄さんではありません」と言った職員の懐の浅さにガックリします。

その職員は、とても事務的に感じます。いつまでも子供たちには「お兄さん」と呼んで欲しいと思うものなのではないのかな?

しかし、レイさんが書かれているように、施設は施設でしかないんでしょうね。家庭にはなりえない・・・。

| つぼみ | 2007/06/08 12:21 | URL | ≫ EDIT














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