気になる本のCLIP07: 児童養護施設と被虐待児―施設内心理療法家からの提言
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| 児童養護施設と被虐待児―施設内心理療法家からの提言 (2006/09) 森田 喜治 商品詳細を見る |
内容(「MARC」データベースより)
28年間にわたって児童養護施設で心理療法にあたってきた著者が、多くの事例をもとに、子どもたちへの関わり方をアドバイス。児童養護施設に入所した種々の子どもの心の状態や深層から、現代社会の病理性にまで言及する。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
森田 喜治
1956年、大阪に生まれる。1981年、大阪教育大学大学院障害児心理学課程修了。臨床心理士。1982年より大阪の児童養護施設に心理療法士として 20年間、子どもの心理療法に携わる。その後、6年間、特別顧問として施設にかかわって現在に到る。2003年より龍谷大学文学部哲学科教育心理学課程特任教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
本のレビュー
本の紹介をしているサイト:ESD ファシリテーター学び舎 for BQOE
【引用】
被虐待児童が増加するにつれて、・・・施設の小規模化、心理職の導入、被虐待児対応職員の配置など、そのシステムは被虐待児童を対象として改革が行われてきた。・・・本来の施設の子どもたちのためのシステムにはあまり目を向けられていない。心理的ケアは、過去に虐待の歴史が記載されている子どもには必要とされ、記載がなければその必要性を唱えられることはない。(5)
たとえ子どもが問題を起こしていたとしても、被虐待児でなければ、心理療法の必要性は唱えられず、・・・虐待の記述のない子どもたちであっても、心理療法を必要とする子どもたちは多い。過去の出来事、不安定な家族からの影響、施設の集団生活といった三重の傷を負っている。・・・施設で生活する子どもたちすべてに平等にその機会が与えられるべき。(6)
わたしは物心ついた頃施設にいたので被虐待児童としての自分はどこにも見えなかった。ブログを書く時にもそのあたりのプレッシャーを感じる事はあった。「虐待を受けてない施設出身者」として自分の考えを表現しつつも、施設にいる事自体はどうなの?と同時に思ってもいた。
周囲は虞犯少年、家庭で虐待を受けてそれを連鎖する子たち、殴る事が商売のような指導員。スルーし続ける保母。それでも親から捨てられた子たちは静かに暮らしていた。
施設の中の静かで真面目で取り立てて記載される虐待もない、一番誰からも見えない子ども達。ただ施設へ入れられただけの子ども達の存在を誰かが語らなくちゃ誰も語れない。
【引用2】
職員側が肯定的な人間関係を体験させたとしても、それに傾倒し、それを内的モデルとしていくことは同時に、その親を手放さなければならないということになる。(254)
彼らは望ましい人間関係のモデルを持たないまま、新たなスタイルの人間関係を学習しなおさなければならないことになる。・・・彼らのこと否定的なスタイルをも受け入れられる体験を深めることは、彼らとの情緒的、肯定的人間関係を結ぶベースとなる。こうして初めて、子どもは人に対して興味を示し、自分から関係を持つことを求めるようになる。(258)
児童養護施設そのものが、子どもたちにとってストレスフルな場であり、また心に傷をもたらす可能性のある体験であることを考慮するなら、被虐待の子どもを対象とするだけでなく、児童養護施設に入所せねばならなくなった子どもたち全体のことを考慮してのアプローチを模索する必要があろう。(278)
職員側が肯定的な人間関係を体験させたとしても、それに傾倒し、それを内的モデルとしていくことは同時に、その親を手放さなければならないということになる。
だから職員では限界がある。ちなみに物心付く前に施設へ捨てられた子は産みの親を内的モデルには持っていない。乳児院からではない自分でさえ、人から人へ橋渡しされる自分像を内面に持っていても、大人が誰も心にいない。
子どもも、離れていく事を前提として関わる職員を内的モデルとまでは設定できない。
別れる事を前提した職員ではなく、別れない事を前提とした里親の存在がどれほど小さな子にとって大事な事か。橋渡しされる自分、入れ替わり続ける養育者、集団の子ども達の中の自分。その体験自体、世界から排除されている事という認識につながる。
被虐待児童だけが施設に入所しているのではないという事に気づいてもらいたくてブログを書いているが、その存在をどう表現すればいいのか思案していたのでこの本は買っておきたいと思った。あと、押さえておきたいのは、家庭で虐待を受けた子が施設できちんとケアを受けていたとは思えない。スローガンばかりが先行している印象がある。
| 気になる本のCLIP07 | 14時22分 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑
