鳩山、小沢ダブル辞任 続投意欲の鳩山が突如、ブン投げ
【政治・経済】
2010年6月2日 掲載
自民党と同じクビのスゲ替え、ゴマカシで民主党は再生できるのか
「私自身、職を引かせていただく」と切り出した鳩山は、退陣の理由として、普天間に代表される政治的混乱や、くすぶり続けた「政治とカネ」の問題などを挙げ、「幹事長にも引いていただきたい」「クリーンな民主党に戻そう」と語り、小沢幹事長も交代させることを明らかにした。前日まで続投に意欲を見せていた鳩山首相が一夜明けて、辞任を決めた背景は何なのか。ポスト鳩山は誰になり、今後の民主党はどうなるのか。自民党と同じく、クビのスゲ替えで、参院選を乗り切ろうとする民主党には国民の失望が広がっている。
政権交代後、たった8カ月でのブン投げ。多くの国民が驚き、呆れた退陣表明だった。
確かに、昨今の鳩山政権の迷走は目に余った。普天間移設問題では「最低でも県外」の公約を果たせなかったばかりか、社民党の連立離脱を招き、終盤の国会運営は綱渡りになった。メディアは鳩山の不手際を叩き、内閣支持率は2割を切り、参院選の投票先でも、民主党は自民党に抜かれる事態になった。参院の改選組からは「鳩山首相の下では選挙を戦えない」の悲鳴が噴出。1日は鳩山、小沢、輿石参院議員会長の3者会談が開かれるなど、事態は緊迫の度を深めていた。鳩山首相の唐突辞任は、こうした党内の「退陣論」に抗し切れなくなったためだ。小沢もサジを投げ、退陣を迫ったとみられている。
しかし、これで民主党は再生するのか。劇的な政権交代で誕生した首相がたった8カ月で辞任に追い込まれるのは残念というより、異常だ。8カ月前の首班指名で「鳩山」と書いた議員が、選挙を前にオタオタし、トップのクビをスゲ替え、事態の打開を図ろうとする。自民党政権時代に何度も見せ付けられてきた光景なのだ。
鳩山の指導力に疑問符がつくのは事実だ。しかし、決定的な醜聞が炸裂したり、内閣支持率がヒトケタになったわけではない。普天間の失態は、誰がやっても同じ結論になる。
それなのに、この民主党や政権内では早い段階から、鳩山・小沢降ろしの動きが公然化し、メディアの民主党叩きと相乗効果で、鳩山政権を追い詰めた。その結果が国会会期中、参院選直前の「クビのスゲ替え」なのである。
民主党のある中堅議員は「私たちが鳩山さんを選んだんだ。選挙があるから代えろというのでは自民党と一緒になる。参院選は堂々と信を問えばいい。それで負ければ、代表を代える。政策も転換する。それが民主主義だ」と言っていた。まさしく、正論なのだが、やはり、民主党も選挙を前に「小手先」のゴマカシに転じた。
もちろん、この結論は鳩山、小沢が両者で合意、了承したもので、潔く引くことで、「次」に影響力を残そうという思惑も透けて見える。鳩山、小沢が辞めれば、民主党が生き返るという単純な話ではないことは確かである。