長期間にわたり、県立3病院への支払いが滞っている医療費自己負担金の回収業務が1日、始まった。再三の支払い催促に応じなかった99人の未収金計約673万円の回収を、今回初めて法律事務所(大阪市中央区)に委託。県は「逃げ得は許さない」と強気の姿勢だ。
対象は、安芸病院(安芸市)=34人46件、約109万円▽芸陽病院(同)=1人1件、1290円▽幡多けんみん病院(宿毛市)=64人232件約564万円。
県によると、分割での支払いが残っている分や、患者が亡くなり連絡が取れなくなった分も含めた未収金の合計は3月末時点で約8800万円。このうち、支払い能力があるのに支払わない人は263人(約2000万円)。病院側が文書などで催促をしても、なおも払わない人が今回の対象となった。
未収金請求の法的時効は、05年11月の最高裁判例に基づき3年とされる。一部でも返済すれば時効はリセットされるため、県は分割納入を勧めるなどして返済を求めてきたが、昨年度は約350万円(旧県立中央病院分も含む)が時効で回収不能になった。県は「未収金は病院経営に少なからず影響を与えているし、支払っている人との不公平感も大きな問題。き然とした対応をしていく」と話している。【千脇康平】
毎日新聞 2010年6月2日 地方版