「顧客創造ですよ」
今夏から医療観光(メディカル・ツーリズム)事業に乗り出す第一交通産業幹部は意気込みを語った。順調にいけば、年間250組1000人が医療機関で健診して、温泉やショッピングで九州を巡ることになる。当初は上海を拠点に富裕層を招くが、大連、南京、北京など拠点拡大も狙う。急成長する中国全土の顧客を呼び込もうというわけだ。
それだけではない。同社グループ主事業であるタクシーの保有台数は6700台あり、バスを含むと7400台。この車両に使うバッテリーを割安な中国から直接調達を始める方針だ。安全性などを確認したうえで導入し、コスト削減効果は2億~3億円になるという。さらにバッテリーのほか、車両関連消耗品も含めて同業他社への販売も考えている。
日本の最先端医療技術が隣国より勝っている状況がいつまでも続くとは限らない。それも見込みながら、自社の成長に“中国”を組み込む、したたかさがうかがえた。【中園敦二】
毎日新聞 2010年6月2日 西部朝刊