1月に取材先でカブトムシの幼虫を譲ってもらい、職場で育てている。気持ち悪いと不評だが、イモムシのような幼虫が一夜にして成虫の形をしたサナギになったときは、童心に帰ったような感慨を覚えた▼先月中旬には羽化したが、サナギの時の飼育方法がまずかったらしく、羽が生えそろわない「羽化不全」に。硬い羽に守られるはずの蛇腹のような背中をさらして歩く姿は弱々しいが、必死に餌のゼリーにかぶりつく姿は愛嬌(あいきょう)たっぷりだ▼カブトムシというと、なかなか都会ではお目にかかれないと思われがちだが、県立生命の星・地球博物館によると、県内では横浜や川崎などの市街地を除くほぼ全域に生息している。捕まえるコツは「樹液を出す木を探すこと」とのこと▼今年もまもなくカブトムシたちが動き出す夏がやってくる。小さなお子さんがいらっしゃる方は、一夏の思い出づくりに採集に出かけてみては。【吉住遊】
毎日新聞 2010年6月2日 地方版