豪快に沈んだ相手守護神とは年季が違う。実績が違う。同じ1点リードを岩瀬はきっちり守りきった。勝利の瞬間は仲間と笑顔で次々とハイタッチを交わした。実に248回目の儀式である。
「塁に出たら、きっと逆転してくれると思って準備はしていました」
出番は突然だった。9回の1点ビハインドを味方が劇的に逆転してくれた。5月24日の楽天戦(ナゴヤドーム)以来のマウンドがめぐってきた。先頭の代打・塩崎に中前打を浴び、送りバントで1死二塁のピンチはつくったものの、代打・山崎浩は投ゴロ。最後は速球で坂口を左飛に打ち取った。リーグ単独トップの今季14セーブ目となった。
岩瀬が掲げる守護神像がある。「点を取られても、最終的に勝てばいいんです」。チームの勝利に貢献することが一番うれしい。防御率など自らの記録は二の次。だからチームの連敗を止められたことが、この日の何よりの喜びだった。
「(連敗中は)投げる機会がなかったけど、自分の出番が来たら、抑えようと思っていました。抑えられてよかった」
名球会入りの基準となる250セーブまであと「2」に迫った。「まだ意識はないんですよ」。節目が近くても岩瀬はあくまで自然体。自分の仕事を積み重ねるだけ。その先に栄光が待っている。 (清水裕介)
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