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【ドラニュース】


執念竜 谷繁逆転V打

2010年6月2日 紙面から

 貯金は守る! 1日のオリックス戦(スカイマーク)、中日は3点のビハインドを、終盤の3イニングでひっくり返し逆転勝ち。負ければ今季初の4連敗、貯金も0となる絶体絶命のピンチで見せた竜の執念。6月は白星スタート。さあ、反攻の幕開けといこう−。

 執念の塊になっていた。「何とか連敗を止めたいと思っていた」。谷繁のバットは鈍い音を立てた。キレイなヒットではない。まさに執念。負ければ4連敗の瀬戸際で、泥くさく右前に運んだ。

 土壇場のうっちゃりだ。1点ビハインドで最終9回へ。井端、セサルが連続四球で出る。小池が送る。1死二、三塁。ここで谷繁が逆転2点タイムリーだ。

 「最低でも同点、と思ってたけど、飛んだコースが良かった」

 ヒーローは謙遜(けんそん)したが、ベテラン勝負師ならではのクールさだった。「その前の登板で、そんなにコントロールが悪かったイメージはなかった」。相手はレスター。初球から振った。2球目も振った。これが千金打になった。

 レスターは前回5月15日の対戦でも攻略。同じ1点ビハインドの9回、逆転サヨナラ勝ちしていた。谷繁は冷静に分析し、レスターに悪夢を繰り返させた。対オリックス戦も08年から足掛け3年の8連勝となった。

 試合後の落合監督はちょっと口をとがらせた。「やりゃぁできんじゃん。何でやらねえんだ。何でよそ行きの野球やるんだ」。長いこと待たされた。ようやく、らしさ、が出た。本拠地以外では5試合、11日ぶりの白星。今季交流戦ではビジターで初の逆転勝利だ。

 苦手だったビジターで、中日らしい粘り腰のうっちゃり。待望の“普段着”だ。邪魔だった「よそ行き」をはぎ取ったのが落合監督だった。

 まずはゲキだ。スコア0−3。お寒い展開だった7回、攻撃前に円陣を組んだ。そこで指揮官が直々に語った。「下を向くな。がむしゃらにやれ」。そんな意味のメッセージを送ったという。普段、円陣でしゃべるのは打撃コーチ。珍しい指揮官の直接ゲキ。ゼロ行進がウソのように7回から反撃開始となった。

 もっとも落合監督は「何も言ってない。言って動くんだったらとうの昔に言ってるよ」と、ゲキを否定。指揮官にとっては「言った」うちに入らないのかもしれないが、効果てきめんだった。

 采配(さいはい)でも強烈なメッセージを送った。2点を追った7回から高橋、浅尾を投入。この試合、絶対に勝つ…。そんな執念が現れた。2点ビハインドで“勝利の方程式”が投入されたのは今季初だった。

 執念タクトに投手も執念で応えた。「点差は関係なかった。前回、やられている。2回続けてやられるわけにはいかなかった」。5月30日のソフトバンク戦で2失点した高橋も燃えていた。

 高橋が打者4人をパーフェクトに封じた。8回1死からは浅尾だ。「三振はたまたまかもしれないですけど、2人で終われたことが良かった」。北川、田口を連続三振。竜が誇るダブルセットアッパーが計2イニングを完全リレー。風向きは変わった。直後の9回に逆転劇が待っていた。

 負ければ今季初の4連敗、貯金消滅という危機だった。危険な一線を越える寸前、土壇場でようやく地を出した。泥くさく、執念を燃やす。これが竜の強さだ。 (生駒泰大)

 

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