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小沢氏が一貫して普天間問題に言及してこなかった狙い
2010年06月01日15時23分 / 提供:木走日記
1日付け産経新聞記事から。
【政局サイド】突き放す小沢氏 公然化した「鳩山降ろし」
鳩山由紀夫首相は民主党の小沢一郎幹事長、輿石東参院議員会長と3者で会談し、続投になお意欲を示したが、小沢氏は突き放した。産経新聞社とFNNの合同調査をはじめ、報道各社の世論調査は軒並み「臨界点」とされる20%を切った。首相の求心力は急速に衰え、退陣のカウントダウンは始まった。
小沢氏らとの3者会談は31日午後5時半ごろ、首相が急に申し入れた。参院民主党を中心にした「鳩山降ろし」の動きを察し、機先を制する狙いがあった。わずか8分間の会談を終えると首相は慌てて官邸に戻り、即座に記者団のぶら下がり取材に応じ、続投を表明した。
だが、小沢氏の“援護射撃”はなかった。定例記者会見は中止し、3者会談後の党役員会で「首相に『落ち着いて話がしたい』と言われているので近く首相と輿石氏と3人で話し合う。いろいろと言いたいことはあると思うが、結果については任せてほしい」と説明しただけだった。
続投を支持するならば、改めて3者会談を開く必要はない。役員会後の正副幹事長会議で小沢氏が「社民党が離脱し、あらゆる状況は厳しい」と述べたこともあり、民主党では「小沢氏が『鳩山降ろし』にゴーサインを出した」との見方が一気に広がった。
(後略)
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100601/stt1006010128006-n1.htm
うむ一連の普天間基地移設問題での鳩山氏の迷走により社民党離脱という結果を招き、メディアの政権支持率も軒並み20%割れを示し、政党支持率でも民主党と自民党が逆転した調査が相次いでおり、参院選を前に参院民主党から「鳩山降ろし」の動きが表面化したようです。
この政権危機は自ら招いたことが主であり鳩山氏にとって自業自得な側面はありながら、この期に及んでも「続投を表明」する鳩山氏にはなにか見ていて気の毒になってしまいますほどです。
さて、今回の「鳩山降ろし」は小沢氏に近い議員から動き出している点が注目されます。
産経記事タイトル通り、小沢氏は鳩山氏を「突き放す」つまり見放したということでしょうか、過去のケースでのキャップ(みこし)がこのような政権末期の様態を示すときの小沢氏の「みこし」に対する冷酷さを思い出すとき、たしかに小沢氏はことここにおよんで参院選を考え鳩山政権を見切ったと推測することは可能でしょう。
・・・
鳩山民主党政権が昨年発足してから最初の4ヶ月は、政権の支持率を下げてきた要因は主に鳩山首相と小沢幹事長にまつわる「政治とカネ」問題でありました。
それもどちらかという世論は鳩山氏より小沢氏に対してより厳しかったわけです。
その間小沢氏はどんなに政権支持率が落ちようとも鳩山政権を支えるしかなかった、「政治とカネ」問題で鳩山氏が辞任となれば当然同じ問題を抱える小沢氏の進退に及ぶのは必至との判断が働いておりました。
しかし現在の政局は、おもに普天間問題の不手際による鳩山氏の政権担当能力そのものに世論の批判が集中しています。
小沢氏が鳩山氏を切るのは不遜な言い方は承知の上ですがこれ以上の良いタイミングはないと考えたとしても不思議ではありますまい。
考えてみると、小沢氏はマニフェストに反してガソリン税存続のときも、事業仕訳の人員に新人を投入するのを阻止したときも、自らは幹事長として党をしきり政権にはタッチせずというポーズは取りながら、ここというポイントでは政権に口出しをして自己の主張を通させてきたのですが、普天間問題では一貫してこれは政府の問題、私が担当することではないと、「我関せず」を通してきました。
穿った見方ですが、小沢氏は普天間問題が政権の命運を左右するほどこじれる可能性を認識していたのではないか。
鳩山政権がうまくこなせばそれは良し、しかし事態をこじらせるならばそのときは一人鳩山氏の責として世論に印象付けることを狙って普天間問題にはいっさい何もいわず口をつぐんでいたのではないでしょうか。
自身の進退に影響を及ばさないで鳩山降ろしをするタイミングを考えれば、小沢氏に取り、「政治とカネ」問題ではなく鳩山氏単独で世論の批判を一身に浴びる今日の状態は絶好の機会ともうつります。
小沢氏が一貫して普天間問題に言及してこなかった狙いには、自分への悪影響を最小化するかたちでの「みこしおろし」、「鳩山降ろし」へと伏線を張っていたのだと私は推測します。
決断すれば小沢氏は、躊躇無く冷酷に「鳩山降ろし」するはずです。
もし彼が決断を下さないとすれば、それは民主党党内で自分の進退への影響が出る可能性がある場合だけです。
・・・
小沢氏がもしこのタイミングで鳩山政権を見放すとすればですが、私は政局の人である小沢氏のそのたぐいまれな政治的手腕とその冷酷さと冷徹さにちょっと寒気がするようなものを感じています。
(木走まさみず)
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