後半、ランパードのPKを阻止した川島=グラーツ・UPCアレナ(撮影・棚橋慶太)
「国際親善試合、日本1-2イングランド」(30日、オーストリア・グラーツ)
阿修羅のような形相で、ゴール前に仁王立ちした。GK川島が、09年11月18日の香港戦以来の出場でスーパーセーブを連発。チームを見事に引き締め、正守護神へ名乗りを上げた。
ハイライトは、1‐0の後半11分。ゴール前でMFランパードのFKが、本田の左手に当たりPKとなった。絶体絶命の危機にアドレナリンが噴出する。ランパードのこん身のシュートを横っ跳びし、右手一本で防いだ。右こぶしを全力で握りしめ「おっしゃあぁぁ!!」と、全身全霊で叫んだ。
「イメージ通りに動けた。止められて良かった」とPKシーンを振り返った川島は、大砲のようなシュートを跳ね返し続けた。前半19分、相手MFレノンとの1対1もセーブ。同24分にはランパードがFKで放った、無回転ロング弾もきっちり対応。後半24分にはFWルーニーの絶妙シュートも枠外へはじき出した。世界中を魅了するようなタレント軍団の攻撃に、敢然と立ち向かった。
存在意義を証明した。昨年9月のオランダ遠征。FIFAランク3位(当時)のオレンジ軍団にチームは3失点。悔しさにベンチでうち震えた。控えのGKで甘んじるつもりなど一切ない。だからこそ、イングランド戦には並々ならぬ決意で臨んでいた。
「(控えの)自分たちは今まで常に準備をしてきた。チャンスをもらえたことは自分にとってプラスになった。ここからが本当の戦い」。2つのオウンゴールで勝利は逃しながらも、サッカー母国の攻撃を“封殺”。善戦の立役者は、紛れもなく川島だった。
(2010年5月31日)