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きょうのコラム「時鐘」 2010年6月2日
三すくみの石、というのを時折、見掛ける。兼六園のヤマトタケルの銅像の台石にもある。蛇とガマガエル、ナメクジの形をしている
蛇はカエルを、カエルはナメクジを襲い、ナメクジは蛇を溶かすという。獲物もいるが、天敵もいる。互いにそうだから、立ちすくんで身動きがとれない。動けないから、結果としてすくみ石が銅像を支えることになる 政権を支える石も、三者三様。首相の進退をめぐって、民主党幹部3人が仏頂面で会談を重ねた。口は達者だが、力はない。力はあるが、人気がない。組織という票田を握るが、無愛想。互いに取りえも弱みも持つ。失礼ながらカエルや蛇、ナメクジに似る。一致協力という建前も、一皮めくれば三すくみのようである 兼六園の石は、高岡で造られた日本最古の銅像を支え続けている。政治家の支えは、当てにはならない。選挙でしくじれば、蛇もカエルも「ただの人」になって役に立たなくなる 私たちの暮らしを支えると称する土台石には、「壊し屋」の異名と実績を持つ大物も交じる。崩壊という味気ない一幕を、早晩見ることになるのだろうか。 |