ニュース・コメンタリー
口蹄疫は国際標準の対策が効果をあげない異例の事態
ニュース・コメンタリー (2010年05月22日)
口蹄疫は国際標準の対策が効果をあげない異例の事態
 宮崎県で口蹄疫の感染が拡大を続ける中、今回日本で発生した口蹄疫は、国際機関の指針に則った対応を適切に実施しているにもかかわらず、感染の拡大が食い止められていないことが、獣医微生物学の専門家の指摘で明らかになった。
 東京大学大学院農学生命科学研究科の明石博臣教授は、今回宮崎で発生した口蹄疫に対する対策は、家畜の国際的な安全基準OIE(国際獣疫機関)が定める指針を基に農水省が定めた「特定家畜伝染病防疫指針」に基づいて適正に行われており、過去の発生事例からの知見が凝縮されているその指針が、現時点での最善の対策であると考えられると言う。しかし明石教授は、それにもかかわらず感染拡大が止まらない異例の事態となっているとの見方を示した。
 感染拡大が止まらないことを受けて、政府の初動の遅れなどを批判する声もあがっている。だが明石氏は、現時点で口蹄疫については上記の基準以上の方策は考えにくいとし、「農水省はじめ宮崎県も防疫指針で定められた作業を重ねているが、不幸なことに感染が止まらないのが現状だ」と語り、これをいたずらに政治問題化することには否定的な見方を示した。
 今週のニュース・コメンタリーでは、獣医微生物学の専門家の明石博臣氏に、口蹄疫の現状と適正な対策とは何かを聞いた。

明石博臣あかしひろおみ
(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)
1947年京都府生まれ。71年東京大学農学部卒業。77年東京大学農学研究科博士課程修了。農学博士。農林省家畜衛生試験場研究員、農林水産省家畜衛生試験場室長、独立行政法人農業技術研究機構動物衛生研究所上席研究員を経て、2001年より現職。共編著に「獣医微生物学」、「動物微生物学」、「動物の感染症」など。
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