日米両政府が発表した米軍普天間飛行場移設問題に関する共同声明に、検討項目として盛り込まれた米軍基地の日米共同使用をめぐり、名護市辺野古に造る代替施設を共同使用する場合は、米側が施設の拡大を求めていることが二十九日、明らかになった。
声明に共同使用が記されたのは、日本側の提案による。安全保障面での連携を促すとともに、基地の運営に日本が関与できる余地ができ、自衛隊が地元対応の窓口になることで、基地が受け入れられやすくなる狙いもある。
二〇〇六年に決定した現行計画は、辺野古沿岸を埋め立て、V字形に滑走路二本を建設するとしている。
今回の日米実務者協議で日本側は、滑走路を一本に縮小した上で、自衛隊との共同使用を米側に求めた。これに対し米側は、滑走路二本の現行計画が最善と主張。共同使用については「受け入れる余地はあるが、自衛隊も使う分、施設を広げる必要がある」と指摘したという。日本が受け入れないのを見越して、共同使用を事実上拒否した形だ。
日本側も現行計画より拡大させることには、地元の理解が得られない上、環境影響評価(アセスメント)のやり直しも必要となって移設が遅れるため、難色を示した。結局、共同使用は検討項目にとどまった。
一方、共同声明の英文は、滑走路に複数形の「S」がかっこ書きで付き、滑走路が複数になる可能性を残すことになった。
◆共同声明該当部分
【施設の共同使用】両政府は、二国間のより緊密な運用調整、相互運用性の改善及び地元とのより強固な関係に寄与するような米軍と自衛隊との間の施設の共同使用を拡大する機会を検討する意図を有する。
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