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2010年5月 8日 (土)

第225回:内閣府・「第3次男女共同参画基本計画策定に向けて(中間整理)」に対する提出パブコメ

 次に、内閣府の「第3次男女共同参画基本計画策定に向けて(中間整理)」に対してもパブコメを書いて提出したので、内容はいつも通りだが、以下に載せておく。(5月12日〆切。内閣府のリリース参照。)

 パブコメはかなりつづめて書いてしまったが、情報に関する観点から見て問題が多いのは、明確に根拠のない規制強化に触れている「第8分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶(pdf)」と「第12分野 メディアにおける男女共同参画の推進(pdf)」である。これらの部分は短いながら、氾濫といった言葉を使ったいつもの印象操作が入っていたり、性的・暴力的な表現は全て人権侵害であると凄まじく片寄った見方による断言をしていたり、さらに児童ポルノ規制法の改正やブロッキングの検討にまで何故か言及し、ゲーム等の創作物について根拠なく広汎な表現規制を検討するとするなど、相変わらず山のように妄言・暴論を垂れ流している

 このパブコメについては、「弁護士山口貴士大いに語る」や「表現規制について少しだけ考えてみる(仮)」でも取り上げらているので、関心のある方は是非リンク先もご覧頂ければと思う。これは、情報・表現規制問題に関心を寄せている方には、是非出してもらいたいと私も思うパブコメの1つである。

 次回は、ハトミミ.comの情報公開制度改正パブコメ(募集要項参照)について書くことになるのではないかと思っている。

(以下、第8分野「女性に対するあらゆる暴力の根絶」に対する提出パブコメ)

 「有害情報の氾濫」、「インターネットや携帯電話の普及により、女性に対する暴力は多様化」、「一部メディアに氾濫する性・暴力表現」等の根拠のない印象操作を含む記載は削除するべきである。
 「女性をもっぱら性的ないしは暴力行為の対象として捉えたメディアにおける表現は、女性に対する人権侵害であ」ると一方的に断言しているが、表現をどのようにとらえるかは人によるものであり、一部の者の一方的な見方を押し付けることにしかなりようのない、このような歪んだ観点からの公報啓発は行われてはならない。
 ゲーム等について、「国際的に重大な懸念が表明され(中略)ていることから、有効な対策を講じる」としているが、文化の相違を無視し、他国の極一部の者の歪んだ主張を一方的に是とするが如き暴論は一切削除するべきである。
 内閣府は対面調査で回答の誘導を行うなど有害かつ悪質な世論操作を行った前科がある。調査を行う場合は、役所の関与を極力無くし、複数の調査機関により項目の偏向をチェックし、ウェブ調査も含め幅広い調査にするべきである。
 閲覧とダウンロードと取得と所持の区別がつかないインターネットにおいては例え児童ポルノにせよ情報の単純所持や取得の規制は有害無益かつ危険なもので、憲法及び条約に規定されている「知る権利」を不当に害する。意図に関する限定を加えたところで、エスパーでもない限りこのような積極性を証明することも反証することもできないため、このような規制の危険性は回避不能であり、思想の自由や罪刑法定主義にも反する。現行法で既に規制されている提供によって生じる被害と所持等との混同は許され得ない。実際の被害者の存在しないアニメ・漫画・ゲームなどの架空の表現への対象拡大も児童保護という法目的を大きく逸脱する異常規制に他ならない。利用者から見てアドレスリストの妥当性のチェックが不可能なブロッキングも、表現の自由(知る権利・情報アクセスの権利を含む)や検閲の禁止といった国民の基本的な権利を侵害するものとならざるを得ない。児童ポルノ規制については、定義の厳密化、単純所持・創作物規制といった非人道的な規制の排除の国際的な働きかけ等のみを検討するべきである。
 なお、実写と見紛うCGの規制については、確かに実在の児童が絡む事件の捜査の妨げになる可能性があるが、今の所捜査の妨げの事実はなく、その規制の検討も時期尚早である。

(以下、第12分野「メディアにおける男女共同参画の推進」に対する提出パブコメ)

 「女性や子どもをもっぱら性的ないしは暴力行為の対象としたメディアの表現は、それ自体が『人権侵害』である」ると一方的に断言しているが、表現をどのようにとらえるかは人によるものであり、一部の者の一方的な見方を押し付けることにしかなりようのない、このような歪んだ観点からの啓発や自主規制等の働きかけは行われてはならない。
 青少年の表現の自由(知る権利・情報アクセス権を含む)も憲法及び条約で保障されている権利であり、このような権利も守りつつ各種検討を進めると明記するべきである。
 本中間整理でも言及されている「北京宣言及び北京行動綱領」(http://www.gender.go.jp/kodo/chapter4-J.html参照)においても、メディア関連の施策については、表現の自由と矛盾しない範囲で進めることとされているのであり、表現の自由と矛盾しない範囲で各種検討が行われると明記されるべきである。特に国際的に日本のメディアに対する誤解があるようであれば、早急にその誤解を解くよう、実際の被害者の存在しない創作物に対する性あるいは暴力を理由とした根拠のない曖昧かつ広汎な表現規制はかえって表現の自由の不当な規制、非人道的な人権侵害となると、国際的な場で働きかけをするべきである。
 内閣府は対面調査で回答の誘導を行うなど有害かつ悪質な世論操作を行った前科がある。調査を行う場合は、役所の関与を極力無くし、複数の調査機関により項目の偏向をチェックし、ウェブ調査も含め幅広い調査にするべきである。
 一部の者の一方的な見方によって、民主主義の最重要の基礎である表現の自由や言論の自由、思想の自由等々の最も基本的な精神的自由そのものを危うくする規制強化が是とされるべきではない。今現在の日本において、メディア表現について規制強化をするに足る根拠は一切なく、「メディア業界の性・暴力表現の規制に係る自主的取組の促進」、「DVDやビデオ、パソコンゲーム等バーチャルな分野における性・暴力表現」のさらなる規制等に反対する。かえって、固定観念にとらわれない多様な男女両性の性表現を確保し、多様な価値観を互いに許容し合う真の男女共同参画社会を目指すため、既に時代遅れとなっている現行の猥褻物規制の緩和について、政府レベルでの検討を開始するべきである。
 今後は、基本に立ち返り、メディアリテラシー教育の推進、現実の暴力の取り締まり等の地道な対策のみに注力した検討が進められることを期待する。

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